安達誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」

「講座:ビジネスに役立つ世界経済」
【第35回】 日本の経常収支黒字急減は日本の競争力低下の証か?

2014年02月27日(木) 安達 誠司
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〔PHOTO〕gettyimages

定着しつつある日本の経常赤字

今年になってアベノミクスの評価が急激に低下しているようだ。昨年はアベノミクスに高い評価を下し、日本経済の将来に大きな期待を抱いていた外国人投資家も、日本株のポジションを急激に落としている模様である。

アベノミクスの評価が低下した理由として、TPP交渉の難航(これは、そのままアベノミクスの成長戦略の評価につながる)や安倍首相の保守的な政治姿勢の鮮明化が指摘されることが多いが、これに加えて取り沙汰されているのが経常収支黒字の縮小、貿易収支赤字の増加に現れた「日本企業の競争力低下」の懸念である。

1月の貿易収支は、2兆7,900億円の赤字と過去最大の貿易赤字となった。この数字は原系列であり、元々季節的に1月の貿易収支は赤字になることがあるため、必ずしも重要な数字ではない。

だが、季節調整済系列でも1月の貿易収支は1兆8,188億円の赤字と、昨年12月の1兆2,588億円から赤字幅は拡大しており、貿易赤字が拡大傾向にあるのは間違いない。また、現時点では昨年12月までのデータしか発表されていないが、経常収支も9月以降、4ヵ月連続の赤字となっており、経常赤字が定着しつつあるように見える。

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