【グロースハック入門】ファッションコーディネートアプリ『iQON』のエンジニアが取り組む、超実践的グロースハック手法とは

growthEngineerCamp

今年に入りグロースハックという言葉を耳にする機会が格段に増えてきている。グロースハックと聞くと、サービスを成長させる為に取り組んだ特徴的な事例にばかり注目が集まるが、本日ご紹介するのは、ずばり『エンジニア視点から見たグロースハック』である。

ファッションコーディネートアプリ『iQON』のCTOを努める今村氏による「エンジニアという観点から見たグロースハック」勉強会に参加したので、ここでその内容を紹介していきたい。
ちなみにiQONを開発するVASILYは「VASILY GROWTH HACK BLOG」を運営していることでも有名。

主催 Skyland Ventures、 協力:growth hack japan
会場提供:MOVIDA JAPAN、スペシャルサンクス:リブセンス桂大介氏

1.iQONとは

サービス概要

『iQON』とはファッションのコーディネートアプリである。ZOZO TOWNなどのファッションECと連携し、ユーザーは好みの服を自由に組み合わせ表現することができる。月間200万UUを誇り「国内最大級のファッションSNS」として知られている。

iQonスクリーンショット

数値紹介

アプリの定量データとしては、ユーザーが作成したコーディネート投稿数は1日数千点。またアイテムへのLIKE数(お気に入り数)は月200万近く、月間PV数は5億以上。アプリケーションストアの平均レビューは4.5点と、各ポイントで高い数値を出している。

2.iQON流、グロースハックとは(基礎編)

iqon

以下『iQON』が如何にしてグロースを生んできたのか、また各エンジニアがどの様にグロースハックに取り組んでいるのかを、今村氏の言葉も交えて基本的な所から紹介していきたい。

グロースハックを一言で表すと

グロースハックとは「数値やユーザーの声を分析し、ユーザーの数や質をGrowthさせる仕組みをプロダクトの中に組み込んでしまう」ことだという。職種にこだわらずに誰でもグロースハックに取り組むことが可能な一方で、エンジニアしかできないグロースハックの役割というのは確かに存在している。

例えばエンジニアがソースコードを改善し直接Growthさせる仕組みを作ることが出来れば、従来のエンジニアリングとマーケティングの離別性から生じる「スピード感の欠如」といった問題を改善することが出来るだろう。

とにかく手数を増やせ

上記の話と関連しているが、グロースハックで大事なのは「手数を増やす」ことにあると今村氏は言う。星の数ほどグロースハック事例が溢れ返るなかで、同様のケースは限られている。その為、重要なのは「プロダクトの開発、計測・データ収集・A/Bテスト」のサイクルを如何にスピード感をもち手数を増やして行うことができるかどうかにあるようだ。

グロースハックチームの構成とは

次にグロースハックを支える開発チームについてだが、VASILYでは社内に専属のグロースチームを結成しているという。構成としては主メンバーとしてグロースハッカーが1名、グロースハッカー見習いが1名の2名構成、その他各プラットフォーム毎のエンジニアが複数名・データ分析が数名(統計・データマイニング)で構成されている。特徴としてはエンジニアが取り組んだ施策に対応するデータ分析専門のメンバーが配属されていることが挙げられるだろう。

3.iQON流、グロースハックとは(実践編)

↓ 早朝7時から30名以上のエンジニアが参加した
growthathon

データ計測は特に重要

続いて、iQON流グロースハックの具体的な手法について解説していきたい。『iQON』では外部ツールと、自社ツールを用いて何と合計557種類ものアクションを測定しており、そこで取得したデータを元にPDCAを回しているという。

リーンスタートアップにおいては開発、データ収集、検証、改善のサイクルを高速で回すことが求められているが「データ収集がなければ次なる施策を打つ事はできないため」特にデータ収集が重要となってくる。

実際にアプリ内のログを計測

『iQON』ではほとんど全てのログを計測していると今村氏はいう。各ボタンはもちろん、誰がどのタイミングでタップしているのかを計測し、押せる部分のログは全て取得している。例えば「特定の条件で出るView(ex)コーデを作成した後に表示)」や「画面のスクロール(スクロールを止めて何をみているか)」、その他「離脱ページの計測」や「PUSH通知」などもその例外ではない。

外部ツールと自社ツールを使い分けて計測

iQONでも実際に使用している計測ツールの一つ『Localytics』は有料のアプリ計測サービスである。日本ではDACが代理店として販売しているツールとなる。iOS、AndroidはもちろんWEBにも対応しており、SDK配布や全ユーザー、全イベントの生ログをS3に自動的にあげてくれる。その他、このツールの特徴としてはイベント作成数の上限が大きく使い勝手がよい点にあるという。

Localytics_photo

またオリジナルツールとしては『DLトラッキング(PRADA)』という自社製アプリダウンロードトラッキングツールを開発しており、リワード広告の仕組みを応用する事で、どの様な流入経路でダウンロードされたかを確実に把握することができるようだ。

その他のコツ

結果はWikiで共有

重要なのは何も施策の実施と計測、検証だけにある訳ではない。実際に試みたグロースハック施策を社内のwikiにノウハウとしてい共有しておくことも非常に重要なことである。その際「なぜやるのか、どうやるのか、どうなるのか、どうなったのか」など、チェックする項目を事前に決めておくことでよりチーム内での共有がすすむと言う。

4.最後に

エンジニアに求められるもの

現在巷では様々なグロースハック事例が紹介されているが、サービス毎にA/Bテストや細かい施策は異なるため、絶対にささる施策といったものは存在しない。そういった中でも、数字と検証、施策を追求し続けることで宝探しの確立をあげることが何よりも重要であり、そのための武器を用意するのがエンジニアの役割であると今村氏は言う。

iQONの様な他にはないオンリーワンのサービスを展開している企業においては、絶対的な正解は誰にも分からない。そうであればスピード感のあるエンジニアが主体となって、とにかく数多くの施策を打つのが最も効果的なようだ。