医療ルネサンス沼津フォーラム「患者のための緩和ケア」

(2)誤解、無知…受診の壁

グループ・ネクサス・ジャパン理事長 天野慎介(あまの・しんすけ)さん

 1973年、東京都生まれ。慶応義塾大商学部卒。2000年に悪性リンパ腫を発症し、化学療法、放射線治療、造血幹細胞移植を受けた。自身のがんを契機に、がん患者支援活動に関わる。グループ・ネクサス・ジャパンの会員数は約1500人。


 27歳で、血液がんの一つの悪性リンパ腫を発症しました。抗がん剤治療などを受けましたが、これまでに2度、再発を経験しています。

 告知された際は、がんに伴う苦痛であるとか、死ぬかもしれないという恐怖と同時に仕事はどうなるのかなど、心の痛み、社会的な痛みなどもありました。一番怖いことは、死にゆく過程で、自分が見捨てられること、そして痛みを取り除いてもらえなくなるかもしれないということでした。

 主治医は、「一緒に頑張りましょう、私はあなたといます」とはっきりおっしゃってくださいました。一緒にいてくれる人がいるんだという思いが、患者さんにはすごく支えになる。それが緩和ケアであり、患者さんから求められていることだと思います。

 患者団体に関わる中で、二つのことを感じています。一つは、基調講演でも示された入り口の問題です。緩和ケアは、診断された時から患者さんの痛みを全人的に取り除くものだというのが定義ではあります。とはいえ、私もそうでしたが、緩和ケアは、他に手段がなくなった人だけが施されるようなものだという誤解が、残念ながら患者さんの間にもあって、取り除ける痛みが取り除けていない。医療者にも、がん治療と緩和ケアが別世界にあるように考えている人がいると思います。

 もう一つは、出口の問題、いわゆる看取みとりの部分の問題です。がんの場合、最後の1か月で急激に状態が悪くなっていく場合もあります。悪くなってきたと自覚するほどになった時、緩和ケアを受けたいと思っても、すぐに緩和ケア病棟に入ることはできません。予約を取るのに月単位で時間がかかるなどの実情があります。在宅で緩和ケアができる医師までたどり着けないこともあります。

 我々患者や一般の方、医療者の方も、残念ながらいろいろなバリアがあって、適切に痛みを取り除けていないというのが実情と思っています。

 

2014年2月27日 読売新聞)

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