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サブカルチャー

初音ミクはなぜ世界を変えたのか?

柴那典

初音ミクはなぜ世界を変えたのか?

価格

(仮)1580円+税

版型

四六判

ページ数

306ページ

ISBNコード

9784778313968

発売年月日

2014.4.03

書籍の説明

2007年、初音ミクの誕生で起きたのは「創作のビッグバン」だった。気鋭の音楽ジャーナリストが綿密な取材を元にその全貌を描ききる、渾身の一作!

◆2007年8月に登場したボーカロイドソフト「初音ミク」。ニコニコ動画を中心に「ボカロP」と呼ばれる一般ユーザーたちが大量の新曲を発表する原動力となった彼女は、単なるツールやソフトウェアの枠組みを超え「音楽の新しいあり方」を示す象徴となった。
現在、初音ミクを使用した楽曲はオリコン/カラオケチャートにおいて上位を占め、CDショップでは専用コーナーが常設され、海外展開も積極的に行われている。

◆クリプトン・フューチャー・メディア株式会社伊藤博之氏・佐々木渉氏、ヤマハ株式会社剣持秀紀氏など開発担当者、またニワンゴ株式会社杉本誠司氏など周辺関係者に多数取材。さらには著者が長年続けてきたryo(supercell)氏、kz(livetune)氏、じん(自然の敵P)氏、とくP氏、冨田勲氏、渋谷慶一郎氏らクリエイターへの取材を元に、00年代の日本のインターネット発で生まれた熱気とエネルギーを描き出す。

◆キャラクター文化やオタク文化、ネット文化、新たなビジネスモデルの象徴……。様々な側面から語られてきた”初音ミク”の存在を初めて音楽の歴史に位置づけ、21世紀の新しい音楽のあり方を指し示す画期的な論考である。

目次

<目次>
序章 僕らはサード・サマー・オブ・ラブの時代を生きていた
 ・新しい「幕開け」がそこにあった
 ・「誰が音楽を殺したのか?」の犯人探しが行われていた二〇〇七年
 ・新しい「遊び場」が生まれた年
 ・二十年おきに訪れる「サマー・オブ・ラブ」

◆第一部◆

第一章 初音ミクが生まれるまで
 ・二〇年前からずっと繋がっている
 ・それは三行広告から始まった
 ・MIDIとDTM文化の登場
 ・初音ミクに受け継がれた名機「DX7」
 ・ベッドルーム・ミュージシャンたちの静かな楽園

第二章 ヒッピーたちの見果てぬ夢
 ・六〇年代に生まれた音楽家の「遊び場」
 ・「帰って来たヨッパライ」が日本のロックを変えた
 ・「サマー・オブ・ラブ」とは何だったのか
 ・ヒッピーカルチャーとコンピュータ文化を繋いだ男
 ・セカンド・サマー・オブ・ラブとレイヴの時代

第三章 デイジー・ベルからボーカロイドへ
 ・歌声だけが取り残されていた
 ・最初に歌った言葉「あさ」
 ・『二〇〇一年宇宙の旅』、死にゆくコンピュータの歌
 ・モーグ博士と「パプペポ親父」

第四章 初音ミク誕生前夜
 ・無風だった最初のボーカロイド
 ・声優・藤田咲を起用した理由
 ・アンダーグラウンドシーンから開発者の道へ
 ・初音ミク誕生の裏側にあった、竹村延和の一言
 ・「同人音楽」という土壌
 ・ニコニコ動画とMAD文化

◆第二部◆

第五章 「現象」は何故生まれたか
 ・二〇〇七年の「運命的なタイミング」
 ・仕掛け人は誰もいなかった
 ・「このビッグバンが、次の時代へのリファレンスになる」

第六章 電子の歌姫に「自我」が芽生えたとき
 ・キャラクターからクリエイターへ
 ・「メルト」が変えた風景
 ・ルーツにあった「強度」
 ・「歌ってみた」とエレックレコード

第七章 拡大する「遊び」が音楽産業を変えた
 ・ヒットチャートを侵食する新たな波
 ・カラオケと著作権の新しい関係
 ・三次元に舞い降りた歌姫

第八章 インターネットアンセムの誕生
 ・「世の中が動くかもしれない」
 ・初音ミクがウェブの「日本代表」に
 ・「ヘイル・トゥ・インターネット」
 ・二〇一二年の「ホテル・カリフォルニア」

第九章 浮世絵化するJポップとボーカロイド
 ・「千本桜」は何故ヒットしたのか
 ・「カゲロウプロジェクト」が受け継いだ一〇代の魂
 ・Jポップの「物語音楽」化
 ・「高密度ポップ」の誕生
 ・ボーカロイド「高速化」の理由

第一〇章 初音ミクと「死」の境界線
 ・揺らぐ「いる」と「いない」の感覚
 ・創造をもって死を乗り越える、ということ
 ・パリ・シャトレ座に響いた「終わり」のアリア

終章 未来へのリファレンス
 ・最初は消えそうなくらい小さな炎だった
 ・初音ミクと「情報革命」
 ・消耗品になってほしくなかった
 ・ブームは去っても、カルチャーは死なない
 ・新しい音楽文化の可能性
 ・音楽の未来、クリエイティブの未来