(2014年2月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
2月24日、ほぼすべての主要経済大国がコメントを出し、ウクライナ向けのどんな支援策も国際通貨基金(IMF)の完全なプログラムを待たねばならないと述べた。
だが、そうした「スタンドバイ融資」は交渉に数カ月かかることがある。またIMFの高官らは、交渉が始まる前に新政権がしっかり発足していることを望む姿勢をはっきり打ち出していることから、5月の大統領選挙が終わるまで待つことになるかもしれない。
では、ウクライナはそれまで持つだろうか? アナリストらは半信半疑だ。また、今後1~2週間で米国とポーランドから2国間融資を求めると述べたウクライナ財務省の24日の声明は明らかに、それほど長く持つかどうか当局も確信が持てないことを示唆している。
急減する外貨準備、迫り来る債務返済期限
注視すべき重要指標の1つが、ウクライナの外貨準備高だ。もしウクライナの外貨準備が底を突けば、債券保有者やガス供給国などの外国の債権者に支払いができなくなり、基本的に破産することになる。
ウクライナ国立銀行(中央銀行)は今年初め、178億ドルの外貨準備があると報告していた。前の月から実に26億ドル、率にして13%減少したことになる。そして、残る外貨準備に対する大量の需要が突如発生した。
まず、中銀は危機時にウクライナの通貨フリブナが完全に暴落することを防ぐために、膨大な量の通貨を公開市場で購入しなければならなかった。世界の主要金融機関で組織する国際金融協会(IIF)が25日に発表した報告書は、今年1月だけでウクライナ中銀はフリブナの下支えに17億ドル費やしたと記している。
次に、それ以上に厄介かもしれない出来事は、IIFがウクライナの銀行取り付け騒ぎの加速と見なす動きだ。預金者がドルでの預金引き出しを求めているのだ。IIFは、こうしたドルでの預金引き出しのせいで、先週末までに準備高がさらに35億~40億ドル減少したと見ている。
さらにいくつかの変数を考慮に入れると、IIFはウクライナの外貨準備高が現在、120億ドルまで落ち込んでいる可能性があると試算している。
ウクライナの債務残高について分かっていることを見てみよう。財務省が昨年行った投資家向けプレゼンテーションによれば、731億ドルの国家債務の16.3%を今年返済しなければならない。ざっと120億ドルである。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先週、ウクライナを格下げした際に、国営天然ガス企業ナフトガスの債務を合わせると、返済額は130億ドルに近いと試算していた。