強制連行:中国で37人が提訴 日本企業に賠償求め

毎日新聞 2014年02月26日 12時58分(最終更新 02月26日 14時30分)

 【北京・工藤哲】日中戦争時に日本に強制連行され、過酷な労働をさせられたとして、中国人被害者や遺族の計37人が26日、日本コークス工業(旧三井鉱山)と三菱マテリアルを相手取り、損害賠償と謝罪を求める訴訟を北京市第1中級人民法院(地裁)に起こした。同法院は受理するか検討する。

 中国の「中華全国弁護士協会」の弁護士らが提訴の準備を進めてきたもので、政府系シンクタンクの中国社会科学院や北京大学の研究者らも加わっている。被害者1人当たり100万元(約1700万円)の賠償を求めるとしている。

 強制連行をめぐっては過去にも中国の裁判所に訴状が出されたことはあるが、訴訟になった例はない。受理するかどうか、裁判所を指導する中国共産党指導部が最終的に判断するとみられる。

 北京以外にも河北、山西、山東の各省や上海でも同様の訴訟が起こされる見通し。今回の訴状が受理されれば、各地でも訴訟が始まることになり、日中間の新たな問題に浮上する可能性もある。

 元労働者らは北海道や福岡県の炭鉱などで働いていた。中国人の強制連行は日本で多くの訴訟が起こされたが、被害者側の敗訴が相次いで確定している。

 日本での強制連行訴訟では、最高裁が2007年4月、戦争被害を「中国が戦争賠償の請求を放棄した1972年の日中共同声明で、個人の請求権も放棄された」と判断した。中国外務省報道官は当時、「強烈な反対」を表明したうえで、強制連行を「日本軍国主義の中国人民に対する重大な犯罪」と非難していた。

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