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福島第一原発 廃炉への道のり遠く
2月26日 18時40分

福島第一原子力発電所では、事故でメルトダウンした核燃料がどのような状態で存在しているのか、3年たった今も高い放射線や汚染水に妨げられ、解明されていません。
廃炉に向けて、核燃料をどう取り出すのか、その核燃料を冷やすことで発生し続ける汚染水問題の解決に道筋をつけられるのか大きな課題のままです。

核燃料の取り出しは早くて6年後

福島第一原発の事故は、1号機から3号機までの3つの原子炉でメルトダウンが起き、高温で溶けた核燃料は一部が原子炉を突き破り、外側の格納容器の底に達しているとみられています。
国や東京電力が示した工程では、この溶けた核燃料の取り出しを最も早いケースで、6年後の2020年度上半期から始め、30年から40年かけて廃炉を完了するとしています。

格納容器の損傷した場所特定できず

しかし、その実現に向けて、解明が急がれる問題があります。
まず、核燃料が溶け落ちている格納容器の損傷箇所が分かっていないという問題です。
核燃料の取り出しは放射線を遮る効果のある水を利用するため、1号機から3号機の格納容器の損傷箇所を補修し、水で満たしてから行う計画です。
去年11月、1号機の格納容器の周辺で核燃料に触れた汚染水が流れ出している様子が、ロボットに搭載したカメラで初めて捉えられました。
3号機では先月、原子炉建屋1階の床を水が流れているのが見つかり、近くにある格納容器の配管の貫通部などから漏れている可能性が指摘されました。
しかし、いずれも具体的な損傷箇所は特定されておらず、2号機では手がかりすら得られていない状況で、補修に着手できる具体的な見通しは立っていません。

溶けた核燃料の現状も不明

そして、溶けた核燃料が格納容器のどこにどのような状態で存在しているのか、分かっていないという問題です。
核燃料を取り出す具体的な方法を決めることができないだけでなく、格納容器を水で満たしたときに、核燃料の状態によっては、核分裂反応が連続する「臨界」が起こりやすくなるとも指摘されています。
調査を妨げているのは、強い放射線や放射性物質を含む汚染水です。
人が近づけないため、国や東京電力は、ロボットや解析などの技術開発を進め、核燃料の状態を正確に把握しようとしています。

汚染水も解決策を模索中

核燃料を冷やすことで発生する汚染水も根本的な解決が急がれます。
汚染水は格納容器から漏れ出し、建屋の地下などにたまっています。
ここに山側から地下水が流れ込んで汚染水が増え続け、一部は海に流出していることが去年、発覚しました。
海側に掘った観測用の井戸の水の放射性物質のデータなどから、建屋とつながるトレンチと呼ばれる地下のトンネルや1号機の建屋周辺から汚染水が漏れだした可能性が指摘されていますが、漏えいルートは特定されていません。
国と東京電力は、トレンチの汚染水を抜き取る対策や、山側からの地下水の流入を防ぐ地中の氷の壁、「凍土壁」など複数の対策を進めていくことにしています。
凍土壁は1号機から4号機を取り囲むように作られる計画ですが、これほど大規模なものはほかに例がなく、どこまで効果が出るかは未知数です。
また東京電力は、来年度中に、タンクにたまっている30万トン以上の汚染水を処理する目標を掲げていますが、ほとんどの放射性物質を取り除くことができる「ALPS」と呼ばれる新型の処理設備を増設し、性能を向上させる必要があり、達成は容易ではありません。
事故から3年がたった今も廃炉や汚染水問題の解決に向けては課題が多く、国内外の技術を集めながら、道筋をつけていくことが求められます。

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