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フェンシング協会 不適切経理で全理事辞任へ
2月26日 20時00分

フェンシング協会 不適切経理で全理事辞任へ

日本フェンシング協会は、海外での強化合宿の際、JOC=日本オリンピック委員会の補助金などを巡って多額の不適切な経理があったとして、20人の理事全員の辞任を決めました。

日本フェンシング協会の経理処理について調べてきた第三者委員会は、26日、都内で会見し、実態を明らかにしました。
それによりますと、フェンシング協会は海外での強化合宿の際、一部の選手に対して、滞在費として選手に1泊につき2万円を受け取ったという領収書を作らせながら、実際には2万円を下回る額しか支給しておらず、平成23年度からの2年間でJOCの補助金から不適切におよそ1900万円を受け取っていました。
また、海外強化合宿での旅費などの経費について、選手の負担金が規定を超えたケースもあり、その額は2年間でおよそ3300万円に上るということです。
第三者委員会では、私的な流用はなく、選手の強化費に充てたとみています。
日本フェンシング協会は26日の理事会でこれらの問題を協議し、指摘された事実を真摯(しんし)に受け止めるとして、20人の理事全員が来月15日付けで辞任することを決めました。

フェンシング協会の再発防止策は

日本フェンシング協会の山本正秀常務理事によりますと、協会は今回の問題を受けて、20人の理事全員が辞任したあと、新しく選ばれる理事は15人程度の体制とし、その中には外部の有識者と選手会の代表者を含める方針だと言うことです。
また会計業務は、これまで常勤の事務局長が1人で対応し、複数の事務職員や外部の専門家がチェックする機会がありませんでした。
このため今後は経理や財務の担当者を新たに置くなど、常勤の事務職員を増やして業務を分散したうえで、専務理事が週2回、業務をチェックすることとし、新たに外部の会計事務所とも契約するということです。
山本常務理事は「現体制が11年前に発足して以来、選手強化と競技の認知度の向上に力を入れてきたが、事務局のガバナンスを重視してこなかったことが原因だと反省している」と話していました。

背景に「競技団体の財政の弱さ」

日本フェンシング協会で明らかになった不適切な経理処理の背景には、競技団体が抱える財政基盤の弱さがあります。
フェンシングは欧米で盛んな競技で、日本が選手強化を行うには毎年数多くの海外強化合宿に選手を派遣しなければならず、年間の事業に必要な経費は4億円程度に上ります。
しかし、フェンシング協会では、収入の基盤となる全国の会員からの会費は年間2000万円程度にすぎず、収入の半分はJOCからの補助金や協会幹部が経営する企業の協賛金で賄っていて、残りの半分近くは選手やコーチの自己負担に頼らざるをえない状況でした。
こうしたなか、フェンシング協会は、不適切な経理処理で資金を工面し、有力選手の強化費に充てるという自転車操業を繰り返していたとみられます。
フェンシングは2008年の北京オリンピックの男子フルーレで銀メダル、2年前のロンドンオリンピックの男子フルーレ団体で銀メダルを獲得する成果を挙げましたが、選手の活躍の陰には、こうした資金繰りによる海外での選手強化の実態がありました。
2020年の東京オリンピックに向けて、世界3位の金メダル数を目指す日本にとって、選手強化を担う競技団体の財政基盤の強化が大きな課題となっています。
調査を行った第三者委員会の伊東卓弁護士は、今回の問題について、「選手の育成は一定の成果が出ているが、必要な事務処理は社会が求めるレベルには至っていなかった」と指摘しました。
そのうえで「調査では、協会がぜい弱な体制のなかで必死に取り組んできたのも見てきた。小規模な団体では、ほぼ同じ状況だと思う。競技団体の運営などをどう支援していくのか、今回の件は新たな支援の体制を考えるきっかけになるのではないか」と話しました。

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