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GOMESSさん

静岡県出身のラッパー・GOMESSさん。彼は10歳の頃に自閉症という病気を宣告され、しばらく人の目から遠ざかるために引きこもった。しかし、ある日、HIP HOPという音楽に出会ったことでラップでメッセージを伝えることを選ぶ。2012年に開催された「第2回 高校生RAP選手権」へ出場し、見た目からは想像もつかない熱い魂が込められたフリースタイルで決勝まで進出、一気にその存在が知れ渡ることとなった。また、2014年より、音楽プロダクション・Low High Who? Productionに所属している。

編集部では、そんな彼の奥底に秘められた思いや生い立ち、そしてHIP HOPに対する思いにGOMESSというMCネームの由来、さらには7月発売予定のニューアルバムなど、幅広くお話をうかがってきた。

特異なバックグラウンドを持つがゆえに、そこに注目されがちなGOMESSさんだが、彼が持つ音楽性や本当の魅力を感じ取っていただければ幸いだ。

(取材・構成/よしだゆうや)

RHYMESTERのライブを見て、ラッパーになりたいと思った

──10歳の冬に自閉症を宣告され、それからしばらく引きこもっていたと聞いていますが、HIP HOPとの出会いはどのような形だったのでしょうか?

GOMESS ぼくは小中学校の時、学校へ行ってなくて、ずっと家にいて、ひたすら時間だけが流れていきました。ゲームがすごく好きなんですけど、うまく進まなくても、うまく進みすぎても長続きしなくて、いつも一日二日でやめてしまう。「あ、こんな簡単なゲームすらクリアできないのか」、その繰り返しが余計に自分をダメ人間にしていく気がしていました。

でも音楽だけはゲームのようにクリアはなくて、ただ聴いているだけでいい。ひたすらずっと好きな音楽を聴いて、それが2、3年続きました。その時期は1週間にCDを絶対20枚聴くという目標を立てていて、色んなジャンルの音楽を聴いていました。そんな感じで、小6から中1くらいの頃はソニー・ミュージックに所属しているほとんどのアーティストの情報を公式サイトを毎日覗いてチェックしていました。

その時にRHYMESTERさんのアルバム『HEAT ISLAND』の告知PVが自動的に流れたんですよね。最初は勝手に流れだして「うるさいな」と思ってたんですけど、「MTV」とかでもPVが流れていて、ちゃんと見てみるとなんとなく「かっこいい」、「これはフルで聴いてみたいな」と思ってアルバムを手に入れました。それがきっかけで自分の中で何かが大きく変わりましたね。これまで音楽を受信する側だったのが、発信する側にも視点がいくようになって、ラップがかっこいい、ラッパーがかっこいいと思って、ラッパーへの憧れの気持ちに変わりました。

──憧れの気持ちからどのようにして自分でラップを始めようと思ったんですか?

GOMESS それからある時、お父さんが誕生日プレゼントでRHYMESTERさんのライブDVD『King Of Stage Vol.4〜「ウワサの真相」リリースツアー〜ファイナル』を買ってきてくれて、少し古めのアルバムのツアーライブだったんですけど、会場は渋谷AXで、ライブではKICK THE CAN CREWさんがゲストで出演していたり、RHYMESTERさんが「今日は誰々が来てるぜ!」みたいにどんどん色んなゲストアーティストさんをステージに呼んでたんですよ。

その映像を見て、当時引きこもっていた孤独なぼくからすると「この人たちすごく楽しそうだな」、「かっこいいな」って特別強く感じました。その時に、まともに人と会話することはできなかったけど、ラップって会話に近いんじゃないかと思って、ラップなら直接面と向かって対話しなくても、ラップすることでメッセージを伝えて、ライブでお客さんと関わることができて、その上楽しむことができる。だからそのRHYMESTERさんのライブ映像を見て、「あ、おれもラップやりたいな」って気持ちに変わりました。

──それから自分でラップをはじめたんですか?

GOMESS 14歳の中2の頃からはじめましたね。ぼくは昔からカセットテープがすごく好きだったので、最初はRHYMESTERさんの歌詞を耳コピしたラップをカセットテープに録音して1人で喜んでいました。

それでだんだんとラップしているうちに、今だったらフリースタイルでやった方が全然うまいくらいのリリックを何時間も何時間もかけて書くようになって、ラップして録音してそれを繰り返していました。ラップをはじめる前から作曲はしていて、どこに出すわけでもないけど自主制作でCDをつくったりして、賞を取ったりもしていました。

ラップをはじめてからしばらくは手拍子や指パッチンだけでラップしていて、その影響もあってか今でもハンドクラップでラップするのが一番かっこいいと思ってますね。

【次のページ】GOMESSの由来は自分の境遇と似ていて実はHIP HOP
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@Emigo Izawa

RT @numabooks: GOMESSインタビュー。自閉症と診断された10代をHIPHOPが救うまで、そしてそれから。 / 「ストリートは孤独じゃなかった」──元引きこもりのラッパー・GOMESS、独占インタビュー
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@鈴木智彦

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@qp MENIHEMU

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