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Report No.1
佐藤塾講師 佐藤順一
大雑把に言うと・・・
放射線
強いエネルギーを持ったビーム。たくさん浴びると身体に良くない。
放射性物質
放射線を出す物質のこと。非常に不安定なので、放っておくとどんどん無くなっていく。
放射能
放射性物質が放射線を出す能力のこと。
1.放射性物質
特徴:不安定。(破裂)崩壊しそう
2.放射性物質の崩壊
放射性物質が破裂して、放射線を1発出す。
3.安定した物質へ・・・
特徴:放射線を出してスッキリしたのでもうこれ以上放射線は出さない。
基本的に、1 個の放射性物質は 1発放射線を出したら安定し、もう放射線は出さない!
(※物によっては二段階破裂してβ線、γ線のように2発放射線を出すようなものもある。)
放射性物質は、種類によって色々な確率でランダムに破裂(崩壊)する。
破裂しやすい物質や、なかなか破裂しない物質など、種類によってかなりの差がある。
破裂(崩壊)した時に出る放射線の種類も、放射性物質の種類によって異なる。
主に以下の3種類
ヨウ素(I-131)
今回の事故で一番多く発生。水に溶けるので野菜や水道水を汚染してるのはこれ。
ただし、8日間放っておくと半分に減るので2ヶ月くらいでほぼ完全に無くなる。現段階で郡山では気にしなくていい程度に減少。
セシウム(Cs-137)
パワーは弱いが寿命が長い。30年経たないと半分に減らない。しかし、水にほとんど溶けないので水道水には混じらないし、万が一飲み込んでもほとんどは尿と一緒に排出される。
セシウム(Cs-134)
性質的にはCs-137とほぼ同じ。ただし、半減期は2年と短く、数年経てばかなり減少すると考えられる。
例えば、半減期8日の放射性ヨウ素の場合・・・
それでは、半減期30年のセシウム137の場合は・・・
では、半減期24000年と超長いプルトニウム239の場合は・・・?
試しに、半減期24000年のプルトニウム239を1年間放置してみると・・・?
☆総量が少ない場合、半減期が長い方が放射線を出す量は少ないのでリスクは小さい!!
次の通り。
シーベルト(Sv)
放射線を浴びた量を表す単位。
1Svは1000mSvで、1mSvは1000μSv。
2.0μSv/h(毎時)なら、1時間に2.0μSvだけ放射線を浴びちゃいますよ、という意味。
100mSv(100000μSv)までは浴びてもダメージは無いと考えられている。
ベクレル(Bq)
放射性物質が放射線を出す量。
食べ物の汚染度合いを表す時などによく使われる。200Bq/kg(毎キログラム)なら、これを1kg食べたら200Bq分の放射正物質を食べることになりますよ、という意味。セシウム(Cs-137)の場合、1Bq = 0.013μSvと計算してOK。
Bqとは「そこで放射性物質が1秒間に何個破裂(崩壊)してるか」という事。
☆1Bq/kgならば、物体1kgの中で1秒間に1個の割合で、放射性物質が崩壊している!!
半減期の長い、つまり破裂(崩壊)しにくい物質の場合、1Bq/kgの物体の中にはもの凄い数の放射性物質が含まれているということになる。(でも崩壊しない分には別に問題無い。)
逆に言うと、放射性物質の個数が凄く多くても、Bqに換算すると大したことない場合もある。
『放射性物質1個』 と 『放射性物質1Bq』 は全然違うので注意!!
実は自然界の中には色々な放射性物質があります。
いくつか例を挙げてみましょう。
空気中
日本では平均15Bq/m 3 の放射性ラドンを含む。
つまり空気1m3 中では常に1秒間に15個のラドンが破裂(崩壊)し、放射線を出している。
バナナ
1本あたり10~15Bqの放射性カリウムを含む。
つまりバナナ1本の中では常に1秒間に10~15個の放射性カリウムが破裂(崩壊)し、放射線を出している。
人間
人間1人には6000~7000Bqの放射性カリウムや放射性炭素を含む。
つまり人間の中では常に1秒間に6000~7000個の放射性物質が破裂(崩壊)し、放射線を出している。
☆このように、放射性物質は意外と身の回りにもたくさんあります!!
全然危険ではありません。(10月28日現在)
放射線量
0.8μSv/h ・・・ 1時間で0.8μSv浴びる。
仮にこのまま数年間ずっと浴び続けてもダメージはほぼ無い。
普段のブラジルのガラパリより低いくらい。
水道水
現時点で放射性ヨウ素はほぼ無くなっており
気にする必要は無い。
空気中の放射線源
少なくとも、原発から新たに拡散された放射線源は無い。
空気中に舞っている放射性物質もほぼ無いと言って良い。
飲食物について
放射性ヨウ素(I-131)が主に心配の要因。
だが、3月15・16日以降、新たな放射性物質の散布は見られない。既に20回以上の半減期をむかえているので、現段階で気にする必要の無いレベルに減少。
空気中の放射性物質について
半減期の長いセシウム(Cs-137)等はまだ残っているので、場所によっては埃と一緒に空気中に舞い上がる可能性も。
しかし、肺に吸い込んでしまったとしても、ほとんどは繊毛上皮の働きで痰として排出され、わずかに肺胞に入ったものはリンパ管に吸収され血中に入り、いずれ排出される。
結論から言うと、気にしないで良いレベル。
一番の違いは被曝量の『単位』!
外部被曝
「~Sv/h(時間)」や「~Sv/s(秒)」など、単位時間あたりにどれだけの放射線によるダメージを受けるかで表すのが普通。
内部被曝
普通の場合「~Sv/50年」で考えられる。
乳幼児の場合「~Sv/70年」。
放射性物質が体内から無くなるまでに合計でどれだけダメージを受けるかを予想して求められている。(ここが重要!!)
これを預託線量という。
体内に取り込んだ放射性物質の量(Bq)に放射性物質毎の係数をかけて求める。
1Bqを体内に取り込んだ時に受ける影響は以下のとおり
ヨウ素131(I-131)
預託線量 1Bq → 0.022μSv(注:←もうありません)
セシウム137(Cs-137)
預託線量 1Bq → 0.013μSv
セシウム134(Cs-134)
預託線量 1Bq → 0.019μSv
ストロンチウム90(Sr-90)
預託線量 1Bq → 0.028μSv(注:←ない。)
プルトニウム239(Pu-239)
預託線量 1Bq → 0.25μSv(注:←これもない。)
ここで注意してもらいたいのは、この預託線量は「食べ物を食べたらすぐに被曝する」という訳ではないし、「体内に取り込んで以降毎年ずっと被爆し続ける」というものでもないという事。
「今後50年間でほんのちょっとずつ、合計これだけ被曝する予定ですよ。」という値である。
つまり、見た目より案外大した事ない場合が多い。
世間では「高すぎる!」と言われている米の暫定規制値500Bq/kgを例に考えてみましょう。(絶対にありえませんが)仮に規制値ギリギリまで汚染された食品のみを1年間食べて過ごした場合、預託線量はどの位になるのでしょうか?
1日に食べる食事の量を1.5kgとして計算すると・・・
500(Bq/kg) ×1.5(kg)×365(日)×0.013(Cs-137の係数)=3558.75(μSv)=3.6(mSv)
この数値も、今後50年でちょっとずつ受けていく線量です。
しかも、実際に市場に出回ってる福島県産食品は多くても100Bq/kg、ほとんどの物は10Bq/kg以下のND(検出限界以下)です。
つまりこの5分の1〜50分の1。ハッキリ言って全然大したこと無い値ですね。
『ベクレル(Bq)、シーベルト(Sv)計算・換算』
http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php?guid=ON
飲料水 | 牛乳・乳製品 | 野菜類 | 穀類 | 肉・卵・魚 その他 |
|
日本 | 200 | 200 | 500 | 500 | 500 |
コーデックス | 1,000 | 1,000 | 1,000 | 1,000 | 1,000 |
米国 | 1,200 | 1,200 | 1,200 | 1,200 | 1,200 |
EU(欧州) | 200 | 200 | 500 | 500 | 500 |
希釈効果の係数(0.5)により、規制地は高めに設定されている。
なので、この半分以下の食物は完全に気にする必要無し。
コーデックスとは世界的な食品の国際規格のこと。
国連食糧農業機関(FAO)と世界保険機関(WHO)によって設置されている。
この基準と比較しても、日本の基準は決して高い訳ではない。
全食品における内部被爆の合計が年5mSvになるように設定されている
現在、飲料水と牛乳・乳製品はほぼ検出されていない。
今後、注意すべきは野菜・穀類・肉・卵・魚介類。
また、陸上ではストロンチウムはセシウムの1%程しかない。
ストロンチウム込みで内部被曝を年1mSv以内に収める為には、食品に含まれるセシウムを何Bq/kgにすれば良いか?
成人 | 幼児 | 乳児 | 基準 | |
飲料水 | 201 | 421 | 228 | 200 |
牛乳 | 1661 | 843 | 270 | 200 |
野菜 | 554 | 1686 | 1540 | 500 |
穀類 | 1107 | 3831 | 2940 | 500 |
肉・卵・魚など | 664 | 4014 | 3234 | 500 |
成人、幼児、乳児の中で最も厳しい数値を元に基準を作成。
ちなみに、セシウム・ストロンチウムは実は成人の方が影響が大きい。
子供は代謝が活発な為、セシウムの排泄も早くなる。
(参考: 『飲食物摂取制限に関する指標について』 原子力安全委員会)
放射性ヨウ素 I-132 | ||||
飲料水 | 牛乳・乳製品 | 野菜等 | その他 | |
日本 | 300 | 300 | 2000 | 魚介類2000 |
Codex | 100 | 100 | 100 | 100 |
シンガポール | 100 | 100 | 100 | 100 |
タイ | 100 | 100 | 100 | 100 |
韓国 | 300 | 150 | 300 | 300 |
中国 | - | 33 | 160 | 食肉・水産470 穀類160 芋類80 |
香港 | 100 | 100 | 100 | 100 |
台湾 | 300 | 55 | 300 | 300 |
フィリピン | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 |
ベトナム | 100 | 100 | 100 | 100 |
マレーシア | 100 | 100 | 100 | 100 |
米国 | 170 | 170 | 170 | 170 |
EU | 300 | 300 | 2000 | 2000 |
放射性セシウム Cs-134, Cs-137 | |||||
飲料水 | 牛乳・乳製品 | 野菜等 | 穀類 | 肉・卵・魚・その他 | |
日本 | 200 | 200 | 500 | 500 | 500 |
Codex | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 |
シンガポール | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 |
タイ | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 |
韓国 | 370 | 370 | 370 | 370 | 370 |
中国 | - | 330 | 210 | 210 | 食肉・魚・甲殻類800 芋類90 |
香港 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000; | 1000 |
台湾 | 370 | 370 | 370 | 370; | 370 |
フィリピン | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 |
ベトナム | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 |
マレーシア | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 |
米国 | 1200 | 1200 | 1200 | 1200 | 1200 |
EU | 200 | 500 | 500 | 500 | 500 |
日本の野菜・魚介類のヨウ素2000Bq/kgとか、やっぱり高すぎるのでは!?
例えば、日本の場合、魚介類を採り、検査し、市場に出回り各家庭の食卓に届くまでかなりの時間が経ちますよね。ヨウ素の半減期は8日なので、その間にかなりの割合のヨウ素が無くなっていきます。なので、日本の規制値はこの数値でも問題が無い訳です。規制値にはこのように各国毎の事情が加味されています。セシウムの規制値も同様です。他国と比べてどうこう言うのは、実はあまり意味がない事なんですよ。
バナナにはカリウムが多く含まれていますが、そのうちの一部には放射性セシウムと同じγ線源である放射性カリウムが必ず含まれます。具体的に言うと1本100gのバナナに10Bq、1kgあたりに直すと約100Bq/kgになります。ですので、バナナを食べると私たちは内部被曝をしています。具体的には1本あたり約0.1μSv(預託線量)です。これを『バナナ等価線量』と呼び、他の食品による内部被曝と比較する際の参考にされます。もちろん、こんな被曝量は全く気にしないでOKな量です。むしろバナナは身体に良い!
中部大学の武田邦彦教授が、自身の著書『子どもを放射能汚染から守り抜く方法』において、以下のような発言をしています。
「食品を選ぶ基準とするべき数値は1kgあたり10Bq(10Bq/kg)以下にするべきです。」
これが食品の規制値に対する大きな誤解を生む原因の一つとなっています。
これは武田教授によると「食品による内部被曝を年0.1mSvに抑えるため!」との事。
ちなみにこの計算式も間違ってるんですけど、考え方も大きく間違っています。
武田教授は前述の『預託線量』の考え方を無視し、1年間に内部被爆が集中すると考えこの数値を提言した様です。(それにしても神経質過ぎですが)・・・武田教授、バナナ食べた事無いんですかね?
Cs-137(セシウム)の場合、再浮遊係数は1/1000000とされている。
(※米国放射線防護測定審議会『NCRP』により定められた係数)
つまり、具体的にどういう事かと言うと・・・・
1m に1000000Bqの放射性セシウムがあるとすると・・・
その上部の1m 中に浮かび上がるセシウムは、1Bqだけ。(要は、ほとんど浮かび上がらない)
次の通り。
現時点(10月20日)での放射線量は地表50cm地点で約0.2μSv/hである。
この数値から校庭1m にある放射性セシウムのおよその量を計算すると、約70000Bq/m となる。
(※参考資料:アメリカ国防省公開資料 http://www.fas.org//irp/agency/dod/dtra/doses.pdf)
これに、セシウムの再浮遊係数1/1000000,呼気による吸入係数0.039μSv/Bq,1日の呼吸量を22.2m (成人男性の値なので少し多め)を用いて、仮に校庭で24時間過ごしたとすると、1日の内部被曝量は・・・
70000(Bq/m )×1/1000000× 0.039(μSv/Bq) ×22.2(m )=約0.06(μSv)
かなりザックリとした計算ですが、だいたいこの程度の値になります。
また、この計算では呼吸量は成人男性のもので計算していますが、小・中学生の呼吸量はこの値よりかなり低くなります。また、実際には一日中校庭にいる事はありえないので、預託線量の値はもっと低い値になります。
この値でも、家の中でバナナを6本食べるのと同じ程度の被曝量なので、実際には気にする必要は無い被曝量だと考えられますね。
図2 日本人中学生尿のセシウム137濃度の推移(1956-1964年)
【出典】Journal of Radiation research 3(1962), Survey Data in Japan 3(1964)、ibid. 6(1965)
校庭での線量が3.8μSv/h以上の学校は校庭が使用不可能との基準に。そんなに危険なの?
生徒の1日の活動が、屋外8時間・屋内16時間と考え、屋外線量が3.8μSv/h、屋内線量は約1.5μSv/hと想定し、年間線量が20mSv(非常事態収束後の参考レベル)に達しない様に計算されています。
計算例 ・・・ (3.8×8+1.5×16)×365=19856(μSv)≒20 (mSv)
20mSvはかなり慎重に設定された数値です。100mSvまでは癌のリスクは上昇しないとされていますので、実際は全く問題無い数値と言えます。
1年間に浴びる量が・・・(※環境放射線・医療放射線を除く)
3.8μSv/h は年間に換算すると大体ここら辺!
これ以上数値が上がる気配は今のところ無いのでご安心を。
国の試算による郡山市の年間累積線量は、多めに見積もって10.1mSvです。
来年以降は、事故の状態が悪化しない限り、さらに数値が下がっていくと考えられます。
1年間に浴びる量が・・・(※環境放射線・医療放射線を除く)
事故が起きている最中は『非常事態時』とされ、避難することによるリスク(ストレス・経済的損失)に比べて被曝によるリスクの方が小さい為、20~100mSvの被曝を許容している。ちなみに、この被曝量で健康被害が出る事は考えにくい。
事故が収束に向かうと『非常事態収束後』とされ、除染によって平常時の線料に近付ける努力が成される。その為、許容される被曝量は1~20mSvと下がっていく。ただし、当然この被曝量では健康被害は出ない。
世界の環境放射線の平均は年2.4mSvです。日本は年1.4mSvくらい。
3月16日 | 3月23日 | 3月30日 | 4月6日 | 4月13日 | 4月20日 | 4月27日 | 5月4日 | 5月11日 | 5月18日 | 5月25日 | 6月1日 | 6月8日 | |
県北(福島市) | 15.40 | 5.20 | 2.84 | 1.87 | 1.86 | 1.67 | 1.56 | 1.52 | 1.55 | 1.42 | 1.40 | 1.36 | 1.31 |
県中(郡山市) | 2.88 | 1.61 | 2.38 | 2.03 | 1.81 | 1.70 | 1.57 | 1.53 | 1.37 | 1.37 | 1.33 | 1.25 | 1.21 |
県南(白河市) | 3.30 | 1.40 | 0.80 | 0.70 | 0.66 | 0.68 | 0.61 | 0.61 | 0.56 | 0.58 | 0.54 | 0.56 | 0.53 |
相双(南相馬) | 3.55 | 1.58 | 0.96 | 0.77 | 0.62 | 0.57 | 0.56 | 0.52 | 0.50 | 0.49 | 0.49 | 0.46 | 0.48 |
いわき(いわき市) | 1.57 | 1.72 | 0.64 | 0.43 | 0.37 | 0.30 | 0.25 | 0.25 | 0.23 | 0.22 | 0.22 | 0.22 | 0.22 |
新たな放射線源の拡散は見られない。
法令をちゃんと読んでない人たちの解釈間違いです。
『放射性同位元素等による放射線電離障害の防止に関する規則(平成22年改正)』の中に、『放射線を放出する同位元素の数量等を定める件』という項目があります。
(参考ページ: http://www.aec.go.jp/jicst/NC/qa/iken/mon-kokuji.htm )
この第14条に『排気又は排水に係る放射性同位元素の濃度限度等』という項目があるのですが、この中に「線量限度は、実効線量が1年間につき1ミリシーベルトとする。」という一文があります。
これを中部大学の武田邦彦教授が適当に解釈してブログに載せたのが誤解の大元と思われます。
(参考ページ: http://takedanet.com/2011/04/post_f1fe.html 注:読まなくても良いです。間違ってるので。)
この文の本当の意味は、放射線を取り扱う企業や団体等が管理敷地内で放射性物質を取り扱う際に、上記の通り『排気又は排水』によって管理敷地内の人達に対して浴びせてしまう実行線量は1mSv以内にしなくてはいけないという意味の法律です。決して放射線を1mSv以上浴びることは許されないという意味の法律ではありません。
また、この1mSvという数値の根拠も、「これだけ浴びると身体に害が出るよ!」という意味では無く、「ちゃんと管理すればこれくらいに抑えられるはずだから、ちゃんとしてね!」という、管理者側に向けたものです。
というか、『放射線を浴びちゃいけない』なんていう法律なんかある訳ないです。
もしあったとしたら、「えっ?CT検査受けたら捕まっちゃうの?」って話になります。
どちらかというと、これは『他人に放射線を浴びせちゃいけない法律』という方が正しい感じです。
比べられているのは事故後5年後のベラルーシであり、資料の見方も間違えてます。
よく「55万ベクレル以上で、これはチェルノブイリの強制移住区域以上の汚染地域」という表現を目にします。
これは、京大の今中助教のチェルノブイリに関する研究を誰かが間違って解釈し、それが出回ったものだと考えられます。
(今中助教の研究に関するページ: http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Mtk95-J.html )
1991年(事故から5年後)にベラルーシ最高議会の採決が行われ、事故から5年も経ったにも関わらずある程度放射性物質が残っている地域は『二次移住区域』という、「希望するなら国が移住をお手伝いしますよ。」という地域に指定された、という事です。どこにも『強制避難区域』なんて言葉は使われていません。
このことから判るように、事故が起きて1年目の福島と事故が起きて5年目のベラルーシを比較し、「福島はチェルノブイリ以上に汚染されている!」と騒ぎ立てるのは間違っています。5年後には、福島だって今より遥かに線量が低くなっていますからね。(Cs-134の半減期は2年なので。)
また、上記の今中助教授の資料中の区分分けに、「移住(第2次移住)ゾーン:セシウム137,ストロンチウム90,プルトニウムによる土壌汚染密度が,それぞれ 555~1480,74~111,1.85~3.7kBq/m2(15~40,2~3,0.05~0.1Ci/km2)の地域.年間の被曝量は0.5レム (5ミリシーベルト)を越える可能性がある」という文があるのですが、誰かがこれから適当に逆算をして「・・・って事は、年5mSvの空間線量がある地域は地面に55万Bqあるんだ!福島やばい!」という間違った計算をしてしまったのでしょう。実際には遮蔽効果も考えた上で計算された数値なので、空間線量が5mSvを超える地域にもそこまで放射性物質はありません。
上の図は福島第一原発事故で飛散した放射性物質の分布図と、チェルノブイリ原発事故で飛散した放射性物質の分布図を、同じスケールにして比較したもの。(左側の図は日本のものだけの拡大図。)
見て分かる通り、規模が全然違う。
『福島原発事故はチェルノブイリを超えた』という認識は完全に間違い。超える訳ない。
『いまも放射性物質が垂れ流しになってる』という誤解は東京電力の出した報告書の内容を読み違えた事が原因。
(参考: http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/images/f12np-gaiyou_3.pdf )
この中にある『1~3号機の放出量は現段階で1時間あたり2億ベクレルとなりました。』という一文を早とちりしたもの。
これは、『3月段階で放出された放射性物質の総量を、事故から今までの経過時間で割ると1時間あたり2億Bqになりますよ。』という意味。(※〔注1〕に書いてある。)
書き方が非常に分かりにくいので、誤解してる人が多数。
TVに出ている人等も多く勘違いしているので注意!
全然何でもない値です。放射性ヨウ素のせいではありません。
「甲状腺検査を受けた子供130人のうち、約7%である10名の数値が基準値から外れていた。」と報道されたが、そもそも基準値というのは全体の95%が収まるように(病院により若干異なる)定めるものです。
全体の7%が基準から外れたという結果は至って普通の結果。むしろ0%とか言われた方が怪しい。
JCO(日本チェルノブイリ連帯基金)による甲状腺調査結果
サイログロブリンが高値・・・2人
甲状腺ホルモンの前段階。甲状腺細胞でしか作られない。
甲状腺ホルモンが低値・・・1人
甲状腺で分泌される。全身の細胞の代謝率を上げる働きがある。
・TSH (甲状腺刺激ホルモン)が高値・・・7人
血中の甲状腺ホルモンが少なくなると、脳下垂体から出され、甲状腺を刺激する。
計・・・・・10人
(参考:http://jspe.umin.jp/pdf/statement20111012.pdf)
今回、最も数値異常が見られたTSHは、血中の甲状腺ホルモンが減少すると、脳下垂体から出されるホルモンなので、放射性ヨウ素による甲状腺被曝で数値に異常が見られる事は考えにくい。
また、今回の事故で放出された放射性ヨウ素の量では、内部被曝による甲状腺異常が見られる可能性はほぼ無い。
甲状腺検査の為に患者が飲む放射性ヨウ素のカプセルは1850000Bqといった、今回の事故での内部被爆とは比べ物にならないレベル。もちろん、この検査で甲状腺異常が出るような事はない。
元々が限りなく0に近いので、10万倍しても極めて小さな量です。
「放射能濃度は風向きに依存し、原発の方角から風が吹くと事故前の10万倍の10ミリベクレル程度と高い値を示す一方、それ以外の風向きの時でも、事故前の千倍の0.1ミリベクレル程度と 一定の濃度があった。」
と報道され、一部では内部被曝に対する不安が高まっていますが、数値をよく見てみましょう。
事故前の10万倍とされる10ミリベクレル(毎㎥)とはどんな量なのでしょうか?
10mBq/㎥ = 0.01Bq/㎥
つまり、空気中1㎥に浮き上がっているセシウムはたったの0.01Bqだけという事です。
これは、再浮遊係数 1/1000000 から逆算すると、地面1㎥に10000Bqのセシウムがある計算になります。
これを空間線量に換算する、約0.036μSv/hとなります。
つまり、0.036μSv/hの空間線量のある地域では、この程度のセシウムが舞っているのは前から分かっていたことで、特に驚くべき数値でも何でもありません。
そして、この程度の空気中の放射性セシウムによる内部被曝で健康被害が出ることは考えられません。
空気中には元々放射性ラドンが15Bq/㎥ありますからね。
これらの事を踏まえて、今回の報道による数値も「放射性セシウムはほとんど舞ってない。」と 言える範囲内であると言えます。
『10万倍!』という数値だけを見て慌てないようにしましょう!
個人で使用する際のポイント!
使用する際は本体をビニールなどに包んで密閉して使う。
測定値のゆらぎを無くすため、電源を入れたら1分程時間をおいてから測定する。
被曝線量を測定する際は、地上1mの地点で測定するのが正確。
県の測定した値は正確性が高いので、その値を基準に自分の計器の癖を読み取る。
目的を決めて、適切な測定を行うことが大事。
①今現在の郡山市の放射線量は危険なレベルではない。
(事故のピークは3月16日で既に過ぎた。今後減少していくことが期待できる。)
②3月以降、新たな放射性物質が原発から飛んできている様子は無い。
(予防措置は取るに越したことは無いが、過剰な心配は必要無い。)
③現在の郡山市の放射線は主にセシウム(Cs-137,134)によるもの。
(多くが土に沈着しているため、土を取り除くこと等で線量を下げる事が期待できる。)
④郡山市の累積線量は多くても年間約10mSv。20mSvには到達しない。
(宇宙飛行士が宇宙ステーションに10日間滞在した際の被曝線量と同じ。)
⑤・・・とは言え、油断は禁物。正しい知識や情報をもって正しい対処を。
(県の発表した数値等に注目し、現状を確認しながら過ごしていきましょう。)