まつもとゆきひろRuby Prize実行委員長(以下まつもと)このたびは、Ruby Prizeの最終ノミネートおめでとうございます。

柴田博志 氏(以下柴田氏)ありがとうございます。

まつもと柴田さんには、管理が行き届いていなかったオフィシャルサイト「www.ruby-lang.org」などRuby関連サイトの面倒をみていただいています。本当にありがとうございます。その活動が評価されRuby Prizeに最終ノミネートされました。
コミュニティの人たちは、新しいこととかおもしろそうなこととは、放っておいてもやるわけですよね。その筆頭が僕ですけど(笑)。おいしいところをつまみ食いしかしないっていう。でも、そればかりでは回らないこともたくさんあるんだよね。
今回結果的に、その中でも他の人が敬遠しがちな面倒なことをやってくれた方がRuby Prizeにノミネートされました。「そういう人を選ぼうね」って、選定委員で決めていたわけではないんだけど、委員の皆さんも同じ思いだったようです。同じく最終ノミネートされたZacさんや、Ruby Prizeを受賞された近永さんも、「縁の下の力持ち」みたいな活動をしてくれている人ですね。
ところで、オフィシャルサイトが新しいデザインになっていましたね。

柴田氏そうですね、さっき決まりました(笑)。

まつもとそう、本当にこのインタビューの直前に決まったんだよね。僕が投票したデザインとは違っていたけど(笑)。それはそれとして、これまでの柴田さんの活動を、Ruby Prizeという表彰制度を通して広く伝えることができたことは本当に良いことだと思っています。

モチベーションは「REBOOT」

まつもとさて、やっと柴田さんへ質問なんですが(笑)、柴田さんのコミュニティ活動への気持ちとか、モチベーションはどこにあるんですか。

柴田氏そうですね。ウェブが盛んになってから10年くらい経過して、「10年もののシステム」がいっぱいあるんですよね。最近、特にウェブサービス業界では「レガシーコードとか、レガシーシステムを何とかしないと」みたいな取り組みが、流行っているというか、度々そういった局面に直面するというか。
僕は、新しいものをつくるよりも、そういった「10年もののシステム」を、この先10年もまた使えるようにすることに興味があります。古くなったシステムを新しくするにしても、みんなが価値と感じるものについては壊さずに、生かし続けるというか延命させるというか。「延命」っていうとちょっとニュアンスが違うんですけど。

まつもと「延命」というとより、生かし続けるという言い方が近いかな?

柴田氏そうですね。「生き返らせる」というか、「リブート」という感じですよね。リブートさせる技術や、そこに時間を費やすのが好きですね。

まつもとそれは、すごく得がたいモチベーションのような気がするよね!

柴田氏はい。なので、例えばサーバーの中にいろんなwebサイトが“がっ!”って入っているのを、“ぱぱぱぱん!”って分割して、じゃあこれはこちらに置きましょうとか、これはこちら側のサーバーに持ってきましょう、みたいな。

まつもとその節はどうも(笑)

柴田氏幸いにして、そういった技術をいろいろと身につけていたりだとか、勉強するのは楽しいですね。そこをモチベーションにして会社でもいろいろとやっていますし、Rubyコミュニティでも活動しています。「何かがあるからやる」というよりは、「やっていて楽しいからやる」ということが多いです。

まつもとそれはよかった!何というか、「ほかにやる人がいないから我慢してやる」っていう人もいるので、「そうだったら嫌だな」と思っていたんですが、楽しんでやっていただけていると聞いてすごくよかったです。