桐谷美玲にあやかる、ジェットスターの算段
ANA系の"勝ち組"ピーチ追う、JAL系の格安航空
LCCは大手の半額以下という格安運賃が最大の特徴。だが、すべてのコストをケチケチと絞るのが定石でもない。
世界的に成功を収めているマレーシアのLCC、エアアジアはF1チームや有名サッカーチームのスポンサーを務めるなど、派手なマーケティングで一気に認知度を高めて、人の移動が少なかった都市間の需要を喚起するという戦略を採ってきた。「メディア向けの派手な露出が目立つ」(航空業界関係者)ジェットスターの日本戦略も、これに重なる部分がある。
ジェットスター・ジャパンは、現在18機ある航空機を今後24機まで拡充する予定。「3~4年以内の黒字化をメドに、思い切った先行投資でスケールメリットの拡大を優先している」(鈴木社長)。
並行して、関西国際空港を第2拠点とする計画や、国際線の就航に向けた準備なども進めている。関空の第2拠点化は具体的な時期は定まっていないものの、「最優先事項として、着々と準備している」と鈴木社長は強調する。
先行するピーチ
これら一連の戦略を俯瞰すると、ある競合の存在を否が応でも連想してしまう。ANAホールディングスが38.67%を出資する和製LCC、ピーチ・アビエーションである。
ピーチはジェットスターと同じく、2012年に就航。関空を発着拠点として選んだことから、関西経済の衰退を懸念して多くの専門家が「失敗する」と事前に予想していた。ところが、これまでの平均搭乗率は約85%と大健闘している。2013年9月には累計搭乗者数300万人を当初予定の2カ月前倒しで突破。「今年度(2014年3月期)はおそらく黒字化する見込み」(関係者)だという。
同社が順調な理由は、2013年4~9月で99.8%と日本の航空会社で最も高い就航率で信頼を得ていること。加えて、簡素なチェックインの仕組みや機内サービスなど、安いコストを実現するための割り切った戦略が利用者に受け入れられていることが挙げられる。