2014年2月25日03時24分
46~58年に計67回の核実験があったマーシャル諸島には、再定住を実現した地域もある。ビキニと並ぶ核実験場だったエニウェトク環礁だ。ビキニやロンゲラップと同様、米国の基金で除染に着手。本島の一部を浄化し、80年以降に集団で再定住した。
汚染濃度の高い環礁北部では、今も立ち入りや食材採取は制限される。しかし、エニウェトク地方政府のシティーマネジャー、ニール・フローレスさん(44)は「すでに子どもを含め800人が帰島した。それでも、放射能を心配する声はほとんどない」と話す。
「再定住を成功させたことを誇りに思っている。日本の広島も長崎も今は人が住んでいる。それと同じだ。見えない不安を恐れていてもどうしようもない」
だが、異様な光景が空から一望できた。隣接する青と灰色の二つの円。ともに元々は核実験の爆心にできた直径100メートルほどのクレーターだが、一方はドーム形に盛り上がっている。
除染ではぎ取った残土をクレーターに詰め、コンクリートで覆った。深さ約9メートルといわれた穴が、高さ7メートル以上の膨らみになった。
青い海に浮かぶ人工的な構造物が、癒えない「核の傷痕」を物語っていた。(中崎太郎)
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