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最悪のタイミングで出た安倍「おともだち」の最悪暴言

 驚くことばかりの安倍首相の「お友達」らの暴言であるが、その中でもこの暴言は今後の進展いかんでは間違いなく命取りになるだろう。おりから安倍政権のオバマ大統領批判が相次いでいる時だ。

 この暴言は最悪のタイミングで出た最悪の暴言だ。

 それは2月23日に放映された「やしきたかじんのそこまで言って委員会」に出席していた金美齢氏のつぎの発言である。すなわち米国のオバマ大統領について、「もしオバマさんが白人だったら、あのレベルの政治家ではね、大統領に当選しなかったと私は思ってるわけ・・・」。実際はもっとひどいことを驚くほどの遠慮のなさでベラベラ語っている。動画が消されないかぎり誰でも見ることができるから是非一見する事をお勧めする。

 この発言はこれ以上ないオバマ大統領に対する侮辱である。 いや、米国の国民すべてを敵に回す発言である。何よりも超ド級の黒人蔑視発言だ。米国という国を少しでも知っている者ならわかることだが、米国における人種問題、とりわけ黒人問題は、米国最大の政治問題である。米国国民が日々苦悩を続け、それでいて決して解決することのできない米国の原罪ともいうべき問題だ。

 この発言をキャロライン・ケネディ大使が知ったらどう思うか。オバマ大統領とその側近が知ったらどう思うか。なによりもオバマ大統領を支持した米国黒人たちが知ったらどう思うか。 間違いなく暴動がおこるだろう。

 金美齢氏はただの私人ではない。安倍首相のインナーサークルの一人である。金美齢氏は自宅を提供して安倍首相とそのお友達の懇親パーティを開き、そこに安倍首相が参加するほどの間柄だ。

 どんなに弁解しようとも、釈明しようとも、安倍首相の考えを代弁していると米国メディアに書かれても仕方がない。

 それにしても大阪読売テレビはよくもこのような発言を放映したものだ。「やしきたかじんのそこまで言って委員会」はぶっつけ本番の生番組ではない。事前に収録して、その後編集して流される番組だ。製作担当者はなぜそのまま流したのだろう。もはや撤回は出来ない。そして米国の主要メディアは日本に特派員を置いている。この金美齢氏の発言を見逃すはずはない。米国の記者が日本たたきの格好のネタとして書けばたちまち全米に伝わり米国国民の知るところになる。安倍首相は思わぬ形で最大の危機に向かい合う事になるだろう(了)

天木直人
外務省を告発する著書が話題となった元駐レバノン特命全権大使

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