エネルギー基本計画:原発「重要なベースロード電源」明記

毎日新聞 2014年02月25日 10時53分(最終更新 02月25日 12時23分)

 政府は25日、国の中長期的なエネルギー政策の方向性を決める「エネルギー基本計画」の原案をまとめた。原発を「重要なベースロード電源」と位置づけて再稼働を進め、一定規模を活用していく方針を明記した。「原発回帰と受け取られかねない」という与党の懸念に配慮し、素案からやや表現を弱めたものの、原発ゼロを目指すとした民主党政権からの方針転換は鮮明だ。

 茂木敏充経済産業相は25日の記者会見で「(素案から)いくつかの変更点はあるが、基本的に方向性が変わったとは認識していない」と述べた。

 政府原案は経産省の審議会が昨年12月にとりまとめた素案をもとに経産省が策定。同日午前の原子力関係閣僚会議で茂木経産相が示した。自民、公明両党との調整を経て年度内に閣議決定する見通し。

 原案は原子力規制委員会の新規制基準をクリアした原発について「再稼働を進める」と明記。再生可能エネルギーの導入促進などで「可能な限り原発依存度を低減させる」とする一方、将来の原発規模を「安定供給、コスト低減などの観点から確保していく規模を見極める」とし、原発の新増設や建て替えにも道を開く内容にした。

 素案では、原発を「基盤となる重要なベース電源」としていたが、与党内の慎重論に配慮し「基盤となる」の文言を削除。「ベース電源」という言葉が原発の重要度を示すわけではないことを強調するため、季節や時間帯に関係なく安定的に出力できるという意味の「ベースロード電源」という専門用語に置き換えた。

 東京都知事選で「脱原発」に注目が集まったことなどもあり、素案に比べ原発をめぐる表現はやや弱まった。しかし、原発を中長期にわたり活用する方針に変わりはなく、東京電力福島第1原発事故を機に「2030年代に原発ゼロを目指す」と脱原発へとかじを切った民主党政権との方針の違いは明らかだ。

 国内の原子力発電所などで保管されている約1万7000トンの使用済み核燃料の問題では「国が前面に立って取り組む」としたものの、具体的な解決策は示されていない。高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の失敗続きなどで行き詰まりが明らかな核燃料サイクルについても「推進」の方向を維持した。【大久保渉】

 ◇エネルギー基本計画の政府原案の骨子◇

 原子力は重要なベースロード電源

 原子力規制委員会の規制基準に適合した原発は再稼働を進める

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