2014.2.25 05:00

【甘口辛口】「必ず転ぶ」発言の森会長、真央に会ってねぎらっては

■2月25日

 日本ラグビー協会主催では史上初となる天覧試合にふさわしい熱戦だった。23日の日本選手権2回戦の神戸製鋼-ヤマハ発動機(秩父宮)。21-26とリードされた神鋼が後半37分、同点トライとゴールで28-26と逆転し準決勝に進出した。ハーフタイムに貴賓席に着かれ後半を観戦された天皇、皇后両陛下も両チームに拍手を送った。

 説明役は日本協会の森喜朗会長が務めた。ソチ五輪の浅田真央の転倒について「見事にひっくり返った。大事なときに必ず転ぶ」と発言した直後。陰では「森さんこそ大事なときに大丈夫?」と失言癖を心配する声もあったようだが、両陛下は「とてもいい試合でした」と喜ばれ、無事大役を務めた。

 76歳の森会長は5期目。昨年3月の役員改選で75歳の定年に引っかかったが、「2019年W杯を盛り上げていくために余人をもって代え難い」と定年延長で再選された。天覧試合実現にも尽力したそうで、両陛下も「(W杯に向け)いい勉強ができました」と話したという。ラグビー界にとって意義深い試合となった。

 さすが森さん、といいたいが、一方で真意は違うと釈明しても公の場で口にすべきではない「必ず転ぶ」発言の波紋は大きい。23日は東京五輪組織委員会会長として東京マラソンのスタート前にあいさつすると、市民ランナーから「真央ちゃんがかわいそう」などとブーイングを浴びたという。

 外国で組織委会長がこんな発言をしたら辞任か、解任のどちらかだろう。ラグビーでは風上で力のほどを見せたが、五輪サイドでは風下に回り失地回復には時間がかかりそうだ。何はともあれ、帰国した浅田に会って労をねぎらってあげてはいかがだろう。(今村忠)

(紙面から)