1月18日、無料通話・メールアプリ「LINE」の利用者数が世界で1億人を超えました。突破した当日はほぼ全てのメディアが報じ、NHKもニュースで大々的に紹介したほど、今や国民的なアプリとして定着しました。時の流れは速いもので、筆者がLINEの記事を書いた1年前とは隔世の感があります。
「今年1月27日、スマホ向けの無料通話・チャットアプリ『LINE』のダウンロード数が1500万を突破した。ただ、あまりにあっという間の出来事で、そのすごさが今ひとつ世間に伝わっていないかもしれない……」
こんな書き出しの記事を書いたのは昨年2月。当時はネット媒体を除き、まだほとんどの大手メディアは「LINE」を報じていませんでした。そんな中、LINEが急成長している背景や理由を描いたこの記事は、多くの人に読まれ、ネット上で話題となりました。
話題となったのには、もう1つ、理由があります。それは「スマホが拓く世界市場 和製『LINE』ヒットの裏側」という見出しの「和製」という言葉です。
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なぜ、わざわざ見出しに「和製」と付けたのか。記事中から引用します。
「もともとLINEは、NHN Japan傘下のネイバージャパンで企画・開発されたサービス。NHN、ネイバーは今年1月に事業統合したため、現在の運営企業はNHNとなる。ともに韓国ネット企業の日本法人。そのため、LINEは『韓国産』と勘違いされることもあるというが、日本で企画され、日本で作られた『純国産』である」
この「和製」に、ネット上の一部(といってもかなり多かったですが)が過剰に反応しました。「えっ、日本製だったの?」「いや、本社が韓国なんだから韓国製だろ」「韓国に電話帳を渡すなんて、あり得ない」……。もともとネットでは韓国を嫌う「嫌韓」の層が一定割合存在し、そうした方面からの指弾も多かったと記憶しています。
しかし、LINEは日本で企画され、日本人の手によって開発されました。今では開発メンバーは80人以上に増え、いろいろな国籍の人間が参加しているといいますが、それでも日本人比率は「7~8割」(NHN Japanの森川亮社長)。世界各地でも日本製と認識され、今でも世界各国のメディアが東京・渋谷にあるNHN Japanの本社へと取材に訪れています。
やはり、世界中で1億人(うち国内は4100万人)ものユーザーを集めたという偉業は、日本として誇るべきものだと思うのです。
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韓国製か、日本製か。どっちだっていいじゃないか、という意見もあると思います。当人も、そういうスタンスです。1億人達成を機に、LINE事業を統括する舛田淳執行役員に、改めて聞くと、「最終的には国籍関係なく無国籍のブランドとして使ってもらいたい。どこの国だと感じられないくらいになった方がいい」との返答でした。
でも、日本の経済振興を願う日本のメディアの一員としては、日本製が偉業を成し遂げた、と素直に喜びたいのです。日本に元気がないからこそ。日本が弱いとされるネット分野だからこそ。そして、その報に触発され、次々と後に続いてほしいなとも願います。
(理)
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LINE、ネイバージャパン、NHN Japan
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