<震災津波訴訟>七十七銀行員の被災死亡 遺族の請求棄却
毎日新聞 2月25日(火)10時10分配信
◇「屋上への避難に合理性」
東日本大震災の津波で七十七銀行女川支店(宮城県女川町)の行員らが支店屋上に逃げて犠牲になったのは同行が適切な避難誘導など安全配慮義務を怠ったためとして、行員ら3人の遺族が同行に計約2億3000万円の賠償を求めた訴訟で、仙台地裁(斉木教朗<のりお>裁判長)は25日、「屋上への緊急避難には合理性があった」として請求を棄却した。遺族側は控訴した。震災犠牲者の遺族が避難を巡り、勤務先や学校などの責任を問う訴訟では2件目の判決で、遺族側が勝訴した1件目とは司法判断が分かれた。
【横倒しのビル…】大震災直後の女川を写真で
提訴していたのは、死亡した行員の田村健太さん(当時25歳)と丹野美智子さん(同54歳)、行方不明になったスタッフの高松祐子さん(同47歳)の遺族計6人。
判決などによると、2011年3月11日午後2時46分の地震発生を受け、当時の支店長が従業員12人に2階建ての支店屋上(高さ約13メートル)に避難するよう指示。午後3時半ごろ、最大20メートルの津波に襲われて支店長を含む4人が死亡、8人が行方不明になった。
海岸から約100メートルに位置した支店の約260メートル先には、女川町の指定避難場所の高台・堀切山があった。近隣の金融機関では従業員が堀切山に避難するなどして犠牲者はなかった。訴訟では、屋上を避難場所とした七十七銀行の防災マニュアルの是非のほか、屋上の高さを超える津波を予測できたかどうかなどが争点となった。
斉木裁判長は、屋上を避難場所としたマニュアルについて「支店は構造上、津波避難ビルとしての適格性があり、安全配慮義務違反には当たらない」と認定。そのうえで「6メートルの津波の到達予想時刻とされた午後3時までに避難を完了する必要があった。その時点では最大震度6弱の揺れを体感していても、屋上を超える巨大津波を予測することは客観的に困難だった」と判断した。
斉木裁判長は、私立日和(ひより)幼稚園(同県石巻市)の送迎バスが津波に巻き込まれ死亡した園児の遺族が起こした損害賠償請求訴訟では、原告勝訴の判決を言い渡した。園側は控訴している。【竹田直人】
◇七十七銀行のコメント
弊行に安全配慮義務違反がなかったことが確認された。12人の行員・スタッフを失った悲しみに変わりはなく、今後、このような悲しい出来事が繰り返されることのないよう、防災への取り組みや行員一人一人の防災への意識をより一層高めていきたい。
最終更新:2月25日(火)13時19分
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