カネミ油症:控訴審も患者側が敗訴 福岡高裁判決
毎日新聞 2014年02月24日 19時02分(最終更新 02月25日 00時06分)
◇20年の「除斥期間」が経過を理由に
国内最大の食品公害「カネミ油症」の一連の訴訟が終結した1989年以降の認定患者や遺族57人が、原因企業のカネミ倉庫(北九州市小倉北区)などに総額5億8300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は24日、請求を棄却した1審福岡地裁小倉支部判決を支持し、患者側の控訴を棄却した。患者側は上告する方針。
古賀寛裁判長は1審同様、損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」(20年)を理由に、患者側の訴えを退けた。一方「法律などに基づく施策で被害者の救済を図るべきだ」と行政に対応を求めた。
除斥期間を巡っては、患者側は「油症と認められて初めて原因が米ぬか油だと明確になった。それまでの提訴は不可能」と主張。また、潜伏期間を経て症状が出るとして、期間の起算点を認定時にするべきだとした。
これに対し古賀裁判長は認定されないことが法律上、提訴の障害にならないなどとして、起算点を最後に油を摂取した69年末と認定。89年末に期間が切れているとして、2008〜10年に提訴した患者の請求を退けた。
先の訴訟による和解で、認定患者には医療費の自己負担分や和解金が支払われることになったが、原告の大半は認定基準が緩和された04年以降の認定患者。認定後の医療費などしか支払われず訴訟で「格差」解消を目指してきた。【山本太一、金秀蓮】