隊長の記事に言及するのはアレなんですが、気になるテーマなので書いておきます。

また「ログミー」が著作権者に無断でログを書き起こして公開して著作権違反的なカーニバルを起こす(山本 一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース


部外者は「著作権違反だ!」と騒ぐな

ログミー」が恐らく無断でテレビ番組のコンテンツを書き起こした、という話題です。

「ログミー」というのがありまして、そこが先日フジテレビ系「笑っていいとも!」のコーナーで取り上げられた放送内容を全文書き起こして騒ぎになりつつあります。

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隊長は「スマートニュースともども著作権者の承諾を得てから然るべきサービス内容にするよう切に願う次第であります」と書いてますが、これはなぜなんでしょうね。ネットの健全性を守るため?他人のコンテンツを「盗む」ことは倫理的に許せないと考えるから?


というのも、少なくともこういった「書き起こし」については、著作権者しかその是非を判断できないんですよね。かくいうぼく自身もログミーに対談を書き起こされた人間ですが、正直普通に嬉しかったです。自分のことを広く知ってもらえますし、テキストになればぼくも引用できますしね。あれは東さんがクレームを付けて、結局消えてしまいましたが…。

ぼくの記事はBLOGOS、Yahoo!ニュース経由でしばしばスマートニュースに流れますが、これも同じ所感で、普通に嬉しいわけです。たくさんの人に読んでもらえるわけですから。


「基本的には許諾がなければ真っ黒であるという理解で良い」というのは、古い考えです。TumblrとかPinterestは真っ黒なんですかね。あとは最近のバイラルメディアも(バイラルメディアのコンテンツの引用意識がすごい:「引用元はfacebookです(キリッ」)。日本だとNAVERまとめも真っ黒ですかね。でも、あれだけ支持されているし、Pinterestなんかは3.38億ドルも調達しているわけです。


そもそも著作権自体が「親告罪」なので、法的な観点からいっても、部外者があーだこーだ騒ぐのはおかしいわけです。「自分のコンテンツ」が許容できない利用のされ方をしていたら、その都度文句をいえばいいだけの話ですから(部外者の人が著作権者に「勝手に引用されてますよ」とお知らせするのはいいと思いますけどね。)。


古い意識がコンテンツの世界を遅らせる

善い悪いはおいといて、これは「事実」として、「基本的には許諾がなければ真っ黒であるという理解で良い」という古い考え方がはびこっていたら、Pinterestもtumblrもバイラルメディアも生まれ得ませんでした。ツイッターのRTも生まれなかったでしょうね。強調しますが、これは善悪はさておき、事実としてそういうことなのです。

個人レベルでも、時代レベルでも、著作権意識なんてものはふわふわと変わっていくものです。ぼくの予感だと、「公開された音声コンテンツは勝手に書き起こされるのが当たり前」になっていくのは、そう遠くない未来です。そうなったとき、「書き起こし」という新しいコンテンツジャンルが世の中に生まれるわけです。というか、すでにそれは生まれつつあります。


「関ジャニ∞」のファンコミュニティ(eighterと呼ぶそうです)でも、書き起こしが文化になっているそうな。


個人的には、こういう流れに逆らっても無駄だと思うんですよねぇ。もしもログミーが潰れたとしても、同じようなプレーヤーは出てくるでしょう。音声認識の技術が進めば書き起こしコストも下がるので、もはや歯止めは利かなくなります。

クリエイター側としては、むしろこの流れをどうマネタイズするか、というビジネスモデルの議論を考えなければなりません。基本的に、公開されたコンテンツに幅広く触れてもらうのは、ポジティブなインパクトを与えるはずです。「書き起こしされたら商売上がったりだ!」なんてマネタイズのやり方は、古いし脆弱です。


まとめ

まとめます。

・その「書き起こし」が著作権的にNGかOKかは、著作権者しか判断できない
・善悪はともあれ、「基本的には許諾がなければ真っ黒であるという理解で良い」という考え方だと、PinterestもTumblrもNAVERまとめも生まれていない
・「書き起こし」は問答無用で広がっているし、広がっていくと予想される
・クリエイターとしては、書き起こされることを前提にしてコンテンツを開発し、ビジネスモデルを組み立てるべき

ここら辺の話は色々な観点があると思うので、ぜひ幅広い意見が聴きたいです。お考えがあるかたはぜひブログなどで書き綴ってみてください。