中学や高校ではなかなか教えられない哲学。難しそう、と思っている人も多いのでは? そんな先入観にとらわれず、自由に考え、発言できる場をつくろうと、福島県内の高校教諭や福島大教授らが毎月、「てつがくカフェ」を開いている。大学生や社会人の参加者が多いなか、フォーラム福島(福島市)で1月26日に開かれた会には高校生も参加した。

 100人の聴衆の中から、清野実侑(みゆう)さん(16)が手を挙げた。「アイヒマンの罪は、(何が起きているか)知ろうとしなかったことだと思います。私も、原発事故が起きた後も原発のことに興味が持てなかった。そんな私の考えは、罪深いことだと思いました」

 この日のカフェのテーマは映画「ハンナ・アーレント」。哲学者アーレントがユダヤ人虐殺にかかわったナチス幹部アイヒマンの裁判を傍聴し、彼が犯した「罪」や「悪」について考える模様を描いた映画だ。