「中国のアフリカ進出、植民地時代と同じ」J・グドール博士
AFP=時事 2月24日(月)17時19分配信
【AFP=時事】英国の高名な霊長類研究者で自然保護論者のジェーン・グドール(Jane Goodall)博士がAFPとのインタビューで、現在の中国はかつてアフリカを植民地支配した欧州列強と同じように、環境に壊滅的な被害をもたらしながらアフリカの資源を搾取していると述べた。
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4月に80歳の誕生日を迎えるグドール博士は今も世界各地を回り、地球に対する脅威について精力的に講演活動を行っている。そのグドール博士の主たる研究対象であるチンパンジーや野生動物の生息環境について語るとき、新興大国・中国のアフリカ大陸への進出は特に警鐘を鳴らす出来事だという。
中国は過去10年間、鉱山や油田の開発から、それに関連する建設会社の運営まで、アフリカの天然資源に大規模な投資を行ってきた。そうした動きに対し自然保護活動家などからは、中国企業は資源争奪戦により環境が受ける打撃にほとんど注意を払っていないと非難の声が上がっている。
グドール博士は南アフリカのヨハネスブルク(Johannesburt)でAFPの取材に対し「アフリカで中国がしていることは単に旧宗主国がしたことと同じだ。植民地主義者たちがアフリカに踏み込んで資源を奪ったように、自分たちの経済成長のために原材料を求め、貧困を悪化させる──中国は大国に成長し、技術は向上している。(もたらされる打撃は)壊滅的だ」と話した。
中国はアフリカの鉱山に対する大々的な投資の他に、象牙やサイの角の巨大市場であり、密猟は憂慮すべき水準にまで増えている。しかし、この問題についてはグドール博士は楽観的で「中国は変わりつつある」と述べ、例として中国当局が最近、押収した象牙を公開処分したことに触れ「10年前だったら、国際的な圧力を受けても政府は象牙を処分しなかっただろうし、公式の宴席でのフカヒレスープの提供を禁止することもなかっただろうが、今は変わった」と語った。
■中国の変化と若い世代に期待
グドール博士が約20年前に設立した子どもや若者のための環境教育プログラム「ルーツ・アンド・シューツ(Roots and Shoots、根っこと新芽の意)」 も中国との関わりを持つ。グドール博士は「大勢の中国の子どもたちがプログラムに参加しているが、ここで参加している子どもたちと違いはない。皆、自然と動物を愛し、力になりたいという気持ちを持っていて、中国人だからという違いはない」と述べる。
世界を変革しようという若者たちの熱意は、現在も1時間以上にわたって聴衆を釘付けにし、無尽蔵のエネルギーの持ち主に見えるグドール博士にとって大きな希望の種だ。「こうした若い人たちには、次世代の親となり、教師となり、法律家、実業家、政治家となる人たちがいる。みんな理解はしているのだが、何をしたら良いか分からないことが、最大の問題だ。もしも千人、百万人、ついには数百万人の人たち全員が正しい選択をすれば、全員が自分たちの行動の結果を考えれば、私たちはとても大きな変化を目にするだろう」
もう一つの希望の光は「驚くべき自然の回復力」だとしてグドール博士は、深刻な土壌侵食から回復した黄河(Yellow River)流域の黄土高原(Loess Plateau)を例に挙げた。世界銀行(World Bank)によると、中国政府と国際援助機関などの出資による4億ドル(約400億円)のプロジェクトで、黄河流域に新たな農法が導入され、侵食が大幅に減少した上、250万人が貧困から脱した。
「多額の資金がかかったが、この地域を今見れば、青々とした農地が広がっている。子どもたちも都会から戻り、野生動物さえ地域全体に戻ってきている。わずかだが、まだ状況を変える時間はある」とグドール博士は語った。【翻訳編集】 AFPBB News
最終更新:2月24日(月)17時57分
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