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「だいち」画像を活用した世界最高精度の全世界デジタル3D地図の整備について

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平成26年2月24日

宇宙航空研究開発機構

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によって撮影した約300万枚の衛星画像を用いて、世界最高精度の全世界デジタル3D地図を整備します。

 今回整備するデジタル3D地図は、世界で初めて5m解像度と5mの高さ精度で世界中の陸地の起伏を表現できるため、地図整備や自然災害の被害予測、水資源の調査など、さまざまな用途に活用することが出来るのが特長です。

図1. デジタル3D地図のイメージ例:エベレスト

 JAXAではこれまでも技術実証を目的として一ヶ月に100枚程度のデジタル3D地図を作成してきましたが、全自動・大量処理に関する研究開発を実施し、月15万枚程度を作成できる見通しが立ちました。開発した技術を活用して2014年3月から3D地図の整備を開始し、2016年3月までに全世界の3D地図が完成する予定です。なお、本データは、株式会社NTTデータを通して、有償で一般に提供されます。
 また、3D地図データを広く一般に利用していただくために、JAXAは低解像度(30m程度を予定)での全世界標高データも整備し、順次準備が整い次第、無償で公開する予定です。これにより、日本発のデータが全世界のデジタル3D地図のベースマップとなることを期待しています。

関連ページ

(別紙)

デジタル3D地図について

1. 背景
 基盤地図情報の整備や津波、洪水等の防災用途のために世界中で地理空間情報の需要が高まっています。地理空間情報整備において3D地図は基盤となるコンテンツですが、これまで3D地図の整備には、航空機や人手による調査が必要であり、コストと期間の制約から整備されるエリアに限界がありました。
 また、衛星「だいち※」は全世界の陸地を中心に高精度な観測を実施してきましたが、これまではデジタル3D地図作成技術の自動化に関わる課題や計算機能力の制約から、広域における整備が進んでいませんでした。

2. 特長
<デジタル3D地図とは>
 地表の3次元座標値(水平位置と高さ)が記録されたデータのことで、高さを示す数値標高モデル(Digital Elevation Model, DEM)と、水平位置を示す正射投影画像の2種類のデータで構成されます。正射投影画像とは、上空から撮影された画像の地形にともなう歪みを除去し、正しい位置情報が付与された画像のことです。

<世界最高精度のデジタル3D地図>
 JAXAが整備するデジタル3D地図の数値標高モデルには、「だいち」のPRISMが取得した画像の中から雲が少ない約300万枚を活用して、世界で初めて5m解像度(正射投影画像は2.5m)という細かさと、5mの高さ精度で世界中の陸地の起伏を表現しています。
 なお、これまで全世界規模で整備された同様の数値標高モデルには、米国が2000年にスペースシャトルを用いて観測したデータによる90m解像度のもの(2003年に第一版公開)と、米国と日本(経済産業省)が共同で2000年から観測した衛星画像による30m解像度のもの(2009年に第一版公開)があり、今でも広く使われています。
 図2は今回整備するデジタル3D地図の一例で、ブータン王国ティンプー市内の正射投影画像(左)と数値標高モデル(右)です。また参考情報として、図3は図2と同じ場所の数値標高モデルを用いて30m解像度(左)と90m解像度(右)を模擬した数値標高モデルです。

図2. 整備するデジタル3D地図のブータン王国の例
(左:正射投影画像, 右:数値標高モデル)

図3. 「だいち」から模擬した数値標高モデル(参考情報)
(左:30m相当解像度, 右:90m相当解像度)

※JAXAが平成18年1月に打上げた陸域観測技術衛星(「だいち(ALOS)」は平成23年5月に運用が終了されるまでの5年4ヶ月の間に地球の様々な様子を観測してきました。「だいち」にはパンクロマチック立体視センサ(PRISM)が搭載されており、高分解能の3方向立体視が可能です。

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