ウクライナ政権崩壊、5つの注目点―欧米やロシアにどう影響?

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反政権デモ隊と治安部隊の激しい衝突の場となった独立広場(23日、キエフ)

 ウクライナ議会によるヤヌコビッチ大統領の解任で国内の政治秩序が急速に変化するなか、新旧の主流派勢力とそれぞれを支持する欧米諸国とロシアが、先を争って地歩を固めようとしている。ウクライナの政権崩壊は5つの主な勢力にどのような影響を与えるのだろうか。

1. ヤヌコビッチ氏

 今や「前大統領」となったヤヌコビッチ氏は、出国しようとして阻まれたと報じられている。同氏は自身の家族と裕福な実業界の支持者たちを、報復や訴追から守る方法を見つけ出す必要がある。野党指導者によると、同氏が国内にとどまれば、先週の治安部隊との衝突でデモ隊に多くの犠牲者が出たことをめぐり訴追される公算が大きい。

2. (旧)野党勢力

 野党勢力は、21日に欧州連合(EU)の仲介により事態打開策でヤヌコビッチ大統領と合意していたが、その日程よりずっと早く権力を手にすることができた。国内経済が崩壊の危機に瀕するなか、長く続いてきた内紛を収束し、統治能力があることを示す必要がある。同時に、歓喜に沸く民族主義のデモ参加者に対しては、ロシア語の使用を制限するといった構想がすぐには実現しないと伝えなければならないだろう。ウクライナの東部地域を二分しかねないからだ。

3. 米国

 オバマ政権はウクライナでの流血事態に衝撃を受けたが、情勢の暫定的な方向性を前向きに受け止めている。欧州への関与拡大要求が勢いを増すことを望み、民主主義に反する法律や慣行が後退することを期待していたが、今はヤヌコビッチ時代は終わったとみている。これまでウクライナ情勢が米国とロシアの対立につながることを避けるため、米国の関与を厳しく制限するよう努めてきた。

4. 欧州連合

 昨年11月にヤヌコビッチ大統領がEUとの連合協定の署名を見送ったとき、EUはウクライナをロシアに奪われたかにみえた。ウクライナを取り戻すチャンスが到来した今、言葉だけでなく行動で示す必要がある。EU諸国は、ウクライナの新指導者に対し、厳しい経済改革に乗り出し、国の分裂を避けるための努力を求める見込みだ。一方でロシアをなだめることにも力を入れるだろう。

5. ロシア

 ロシア主導で旧ソ連諸国との連合樹立を目指すプーチン大統領にとって、ウクライナの政権崩壊は大打撃となったようだ。今後はウクライナをめぐって欧米とどの程度の緊張関係を生み出す用意があるかを慎重に検討する必要がある。ロシアにとっては長い駆け引きとなる可能性がある。ウクライナでは05年、今回と同じような抗議行動の後で親欧米政権が誕生したが、その5年後、親ロシアのヤヌコビッチ氏に大統領選挙で敗れたのだ。

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