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理化学研究所、STAP細胞論文の調査に着手 ブックマーク

Nature オンライン公開 | doi:10.1038/nature.2014.14738

理化学研究所は、小保方晴子(おぼかた・はるこ)研究員の画期的なSTAP細胞論文に不自然な点があるという主張を受けて、調査を開始した

David Cyranoski

ストレスによって多能性を獲得させた(STAP)細胞が注入されたマウスの初期胚に関する研究論文が議論を呼んでいる。

Credit: Haruko Obokata

小保方晴子研究員の画期的な幹細胞研究論文の信頼性に懸念が生じているため、日本でトップクラスの研究機関である理化学研究所が調査を開始した。

理化学研究所の発生・再生科学総合研究センター(兵庫県神戸市)は、同センター所属の生物学者、小保方晴子の研究論文に不自然な点があるとする主張に関して調査を行っていることを2014年2月14日に発表した。小保方は、Nature 2014年1月30日号に発表された2編の論文1, 2の主著者として脚光を浴びた。この論文では、マウスの成熟細胞にストレスをかける方法、例えば、酸性溶液に浸ける、あるいは細胞膜に物理的圧力を加えるなどの簡単な方法で、受精卵に近い状態に再プログラム化できることを実証したと報告された。ところが、複数のブログサイトで、小保方の論文に画像の重複利用があったことが指摘され、さらに、彼女の研究結果を再現できないという報告が数多く寄せられた。これらを受け、理化学研究所は調査を開始したのである。

受精卵に近い状態の細胞は、体を構成するさまざまな種類の細胞に分化できる。そのため、この種の細胞は、病気の発症や薬物の有効性を調べるための研究に適しており、また、機能不全に陥った臓器を再生させるための移植に用いることができるのではないかと期待されている。

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