避難解除:「官僚は頭がいいんです」、判断押し切る 福島
毎日新聞 2014年02月24日 15時06分
「避難指示は憲法22条の居住の自由を阻む例外的な規制で、我々は帰れる方の権利を守りたい」と、これまで一度も触れられなかった憲法を初めて持ち出した。さらに「住民とは昨年夏からすでに7回の意見交換をし、国を挙げ、できるだけのことをしてきた。4月1日をめどに解除するのが適当と考えている」と告げた。
熊谷副本部長が述べた「7回の意見交換」のうち4回は4地区に分けた個別会合だ。住民側から見れば、国と接した機会は説明会3回と地区の個別会合1回の計4回に過ぎない。住民は「国、市は十分な説明をしていない」「解除は全員が帰れる状況をつくってから」と反発した。
しかし、復興庁、環境省の官僚も「4月1日解除」を前提に話し始め、最後は赤羽本部長が「国の判断として」4月1日解除の方針を表明した。冨塚市長も追認する形で3時間に及ぶ会合が終わった。
最初に反対意見を語らせ、中盤に賛成意見が出たところで帰還派の住民に解除を提案させ、政府側が「4月解除」の方針を一斉に言い渡す−−。「解除反対」が半数以上とみられる住民たちは「国の判断」で押し切られた形だ。会合は当局への不信感という禍根を残すものとなった。【藤原章生】
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◆田村市都路地区をめぐる動き◆
2011年 3月11日 東日本大震災発生
4月22日 都路地区東部(20キロ圏)が警戒区域に
5月22日 一時帰宅実施
12年 4月 1日 警戒区域を解除し、避難指示解除準備区域に再編
7月27日 福島第1原発20キロ圏内で初の国直轄の本格除染が始まる
13年 1月 廃棄物の不適切処理が発覚
6月28日 国直轄除染が実施11市町村で初めて終了
7月26日 避難区域で初の長期宿泊が認められる
10月14日 「13年11月」とする政府の避難指示解除時期に住民が反発し「14年春以降」に先延ばし
14年 2月23日 県内初の避難指示解除を4月1日に実施する方針決定