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  • 2014年02月23日 07:43

ウクライナ問題で欧米に嫌味を言う中国

 今日は週末ということもあって、久しぶりの翻訳ネタで『環球網』でいきます。取り上げるのは「乌克兰会变成第二个叙利亚吗?」となります。

 最初に記事を翻訳したものを紹介させていただきますが、結構長い記事なので、かなり省略した形での翻訳とさせてもらいます。

1 記事の紹介

 欧米が支持する反対派が武器をとり、ウクライナで内戦となっている。そして欧米はウクライナ政府による鎮圧を批判している。

 欧米は自分たちが一貫して主張してきた民主選挙を否定し、暴力による街頭デモを支持している。アメリカが支持しているデモ参加者の中には、武器庫から武器を奪った者もおり、もしアメリカがこうした者たちを支持し続ければ内戦となるだろう。

 アメリカとロシアはウクライナを争っている。今回の原因はロシアとウクライナが貿易協定を締結しEUに冷たくあたったことに起因する。ウクライナは経済危機のため、援助を必要としているが、EUが提示したものは額も少なく、様々な政治条件を付加したものだった。

 そのため、親ロシアへ舵をきり150億ドルの緊急援助と天然ガスの援助を受けた。結果、欧米は敗北したわけである、ここに至って、これまで自分たちが掲げてきた民主や道徳を顧みず、公然と反政府の暴力活動を支持した。

 ウクライナはウクライナ語を話す人が西部に多く、彼らはEUへの加盟を望んでいるが、ロシア語を話す人は東部に集中している。ウクライナの問題はソ連解体後、NATOが東方への拡大を目指したことが本質だ。

 もし欧米がウクライナ内戦を支持すれば、内戦は更に激化し、シリアのようになってしまうかもしれないし、東西分裂ということもありうる。また、ヨーロッパ戦争ということもありうるので、我々はこの問題を注視していかなくてはならない。

2 欧米の介入

 中国にしてみれば、人権問題などで散々欧米から批判されているので、ここぞとばかりに欧米にダブルスタンダードを批判しているというところでしょう。

 中国はこうした批判を受けるたびにアメリカの黒人差別などの人権問題を批判してきましたし(アメリカの人権に対する中国の批判)、西欧民主主義が主張する選挙制度などを批判してきました((エジプトの選挙結果を受け、西側に嫌みを言う中国)。

 そして、元記事にあるシリア問題でも中国はロシアとともに、欧米とは異なる主張を展開しました(中国のシリア制裁決議に関する反論と「平和国家」)。

 私は、民主主義が完全であるとも思っていませんし、日本の例を見るまでもなく、多くの欠点を内包しているのは間違いないかと考えます。

 しかし、だからと言って、民主主義以外により良い制度があるかという話で、欠点があるから全否定すべきという中国の主張には当然賛成しかねます。

3 中国の主張

 ただ、そうは言っても中国の主張にはそれなりの説得力があり、私は、こうした中国の主張が正しいなどとは間違っても思っていませんが、国際社会で、斯様に自分の意見を主張することは大事だと考えています。

 韓国が行っているように、自分の正当性を常に主張していけば、それを信じる者も中には出てくるという話です(韓国に「慰安婦問題」で巻き込まれるアメリカ韓国に「慰安婦問題」で巻き込まれるアメリカ2)。

 私はヘイトデモの様な相手に対し威圧的な行動をとるものは論外として、相手を騙すように自分に都合の良い言動だけをを行う者にもあまり良い感情はもっておりません。

 ただ、その一方で、それなりに論理的な主張には、きちんと対応すべきだと思っており、今回の様な意見は自分に都合のよいものでしかないと思いつつ、全否定するつもりはありません。

4 最後に

 ウクライナが東西分裂する可能性は否定しませんが、どこで分けるかなどかなり難しい問題があることは間違いなく、簡単にはいかないでしょう。しかし、このまま内戦状態が悪化すれば、そうなっても何の不思議もありません。

 ただ、これまでの例(朝鮮戦争、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、コソボ紛争)を見てもわかるとおり、本当の意味での全面戦争になる可能性は少ないと思っており、元記事にあるように「ヨーロッパ戦争」ということはあり得ないと考えています。

中国ニュースをウォッチし、日本との関係を中心に考察。

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