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トミカ、23年ぶりに大幅値上げ

東洋経済オンライン 2月24日(月)6時0分配信

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トミカ、23年ぶりに大幅値上げ
トミカ、23年ぶりに大幅値上げ

 玩具大手のタカラトミーは2月1日、ミニカー「トミカ」の主力商品120種の希望小売価格を、360円から450円へ25%引き上げた。値上げは実に23年ぶりとなる。

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 「今までの品質を守っていくには、ここで値上げに踏み切らざるをえなかった」(同社の竹内俊介トミカグループリーダー)。1970年に3〜5歳の男児向け玩具として発売したトミカは、精巧な作りで大人にも人気を博し、国内ミニカー市場でシェアトップ。同社の調査では国内での認知度は9割に至り、累計5億7400万台を売り上げた(2013年3月時点)。

 トミカ値上げの一因は、原材料の価格上昇だ。特に影響が大きかったのが、ボディの主原料である亜鉛合金。直近の5年間で1.5倍に値上がりしたという。

 だが、原材料価格以上に大幅上昇したのが、生産国であるベトナムの人件費だ。当初トミカは東京・葛飾区の工場で生産していたが、92年に中国広東省の協力工場への生産委託に切り替えた。その後、中国での人件費上昇を受け、08年にベトナムの協力工場へシフト。今では主力120種などおよそ9割を、同国で生産している。

■ 最低賃金が毎年上昇

 外資系企業の誘致を図るため、ベトナムの最低賃金は05年まで6年間据え置かれてきた。しかし、「インフレ率の上昇などを背景に、その後は右肩上がりの状況にある」(第一生命経済研究所の西濱徹・主任エコノミスト)。今年1月にも引き上げられ、ハノイやホーチミンなど都市部の月額最低賃金は前年比14.9%増の270万ドン(約128ドル)となった。

 同国のインフレ率は一昨年から1ケタ台に落ち着いてきたが、ベトナム共産党は15年までに最低賃金を310万ドンまで引き上げるという目標を掲げているため、来年も今年並みの引き上げがなされるとの見方が濃厚。今年の改定に当たって30%の引き上げを要求していた労働組合の中央組織「ベトナム労働総同盟」からの圧力も引き続き強まりそうだ。

 それでも中国やほかのアジア諸国と比較すると、生産拠点としてのベトナムの優位性はまだ高い。「アジア有数の親日国のうえ、社会保障や諸手当などを含めた年間実負担額は中国やタイの半分にとどまる」(ジェトロ海外調査部の大久保文博氏)ためだ。

 ジェトロの調査によると、ベトナムの製造業作業員に対する年間実負担額は3000ドル。対して中国は7503ドル、タイは6936ドルとなっている。2000ドル台のラオスや1000ドル台のカンボジア、バングラデシュなど、ベトナムより安い国もあるが、「安定した電力インフラや産業の裾野が広がっている点は魅力が大きい」(大久保氏)。

 タカラトミーも「工場との関係も成熟しており、品質も高まっている。当面、他国への生産移管などは考えていない」(竹内氏)としている。しばらくはベトナムに腰を落ち着ける方針だ。

(週刊東洋経済2014年3月1日号〈2月24日発売〉)

風間 直樹

最終更新:2月24日(月)10時40分

東洋経済オンライン

 

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