2014年02月22日

◆ STAP細胞は捏造か? ノー。

 STAP細胞は捏造か? いや、捏造ではない。そう断言してもいいだろう。その理由を示す。

 ──

 誤解されると困るのだが、私はここでは、次のことは言っていない
 「 STAP細胞の公開論文は、真実を示している。追試で再現ができないのは、再現できない方が下手なだけだ」

 私が言いたいのは、次のことだ。
 「 STAP細胞の公開論文は、部分的に真実を示しているが、未完成である。追試で再現ができないのは、情報不足であるからだ。その情報については、小保方さん自身もまだ突き止めていない」


 これが基本となる。どうしてこういう結論になるかは、前項を読めばわかるだろう。
( ※ つまり、「核心」の解明をすることが必要だ。その解明ができていないうちは、未完成である。)

 ──

 ここでは、私は「 STAP細胞は存在する」という立場を取っている。なぜそうかを、以下で説明しよう。

 (1) 他の多能性細胞

 STAP細胞以外に、他にも多能性細胞というものが、これまでに見つかっている。
  ・ 乳酸菌による多能性細胞 ( → 前出
  ・ MAPC細胞 ( → 前出
 
 このように、STAP細胞以外にも、同様の研究がすでに見つかっている。しかもそれらには、共通点がある。
 「ひんぱんに細胞分裂をする骨髄や皮膚の細胞を使う」
 「増殖能がない」
 「再現性が低い」
 「何らかのストレスを掛けた状態であるようだ」
 これほどにも一致の度合いが高い。とすれば、とうてい偶然ではありえない。偶然以上の何らかの真実がひそんでいるはずだ。
 これらのことから、「 STAP細胞は存在する」という推定は十分に成立する。
( ※ ただし推定であるにすぎない。これだけではとうてい断言はできない。)

 (2) 細胞分裂との関係

 STAP細胞と細胞分裂との関係については、先に述べた。
  → STAP細胞と細胞分裂 (原理・再現性)
 つまり、次のことだ。
 STAP細胞は、既存の古い細胞が変化したものではなくて、細胞分裂によってできた新しい細胞である。
 新しい細胞は、できる途中で、過程が不完全となった。そのせいで、機能の特定化を喪失した。つまり、未熟だった。その未熟さが、多能性と呼ばれるものだ。

 このことが決定的に重要である。なぜなら、このことによって、これまでのすべてが整合的に説明されるからだ。
  ・ 白血球や皮膚細胞など、代謝の多い細胞で成功すること。
  ・ 新生児マウスでは可能だが、成熟したマウスではできないこと。
  ・ 一般の細胞でも少しは STAP細胞ができること。
  ・ 多能性はあるが、増殖能はないこと。
  ・ DNA がほぐれることと関係していること。
  ・ 再現性が低いこと。

 これらのことがすべて整合的に説明される。それはいわば、「推理小説に現れたさまざまな謎に、名探偵が整合的な説明を与える」というのに近い。あらゆる謎を一挙に解決する説明があるとしたら、それは真実である蓋然性がとても高いのだ。

 だが、ここまでの説明では、断言まではできない。「真実である蓋然性がとても高い」とは言えても、「真実である」と断言するまでは行かない。「真実である」と断言するための理由は、別にある。

 (3) 多能性の説明

 多能性とは何か? それは STAP細胞において新たに獲得された機能か? もしそうだとすれば、なぜストレスを与えるという簡単な操作だけで新たな機能が獲得されるのか? ……これはあまりにも大きな謎だ。この謎に答えない限り、すべては瓦解する。
 しかるに、STAP細胞と細胞分裂との関係を示すことで、この謎には回答が与えられた。こうだ。(細胞分裂によってできた細胞ができたてであることについて。)
 「できたてであること自体は、多能性をもたない。ただし、できたての細胞になる途中(細胞の形成の途中)が問題だ。ここで、強いストレスを受けると、新しい細胞(細胞分裂でできる細胞)は、不完全となる。つまり、誕生後に特定の細胞になる過程が完遂されない」

 つまり、STAP細胞における多能性というのは、何らかの新しい機能を獲得したものではなくて、本来果たされるべき機能が果たされなかったがゆえの、未完成さのことなのだ。(その未完成さが、STAP細胞の多能性である。)

 この最後のことが大切だ。このことによって、多能性というものの本質が判明する。そして、このことは、真実だけがもつ特有の美しさをもつ。少なくとも、私にはそう感じられる。
 だからこそ、私としては、「 STAP細胞は存在する」と断言したい。
 ただし、断言というのは、私の個人的なものだ。社会的に断定されるのとは、また違うことだ。社会的に断定されるためには、追試による実証が必要だろう。
 とはいえ、それは、まだ先のことだ。そこで、未来になる前に、未来の事実を見通すために、ここに論理的な考察を記した。この考察によって、まだ現実には起こっていない未来を見通すことができる。
 人々は現在、「 STAP細胞は捏造か? 真実か?」と侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論をしている。しかし、いずれも根拠はない。そこで、私としては、科学的な根拠をもって、「 STAP細胞は真実だ」と断言しておくことにする。あくまで私個人による断言だが。
( ※ しかし、そこには一定の信頼性がある。)



 [ 付記1 ]
 ついでだが、「捏造だろう」と批判する見解について、コメントしておく。
 小保方さんの公開論文には、いくつかの難点がある。「画像の切り貼り」とか、「記述の不足」とか。
 とはいえ、これらは、論文を書き慣れていない初心者による初歩的な誤りだ、と見なすことができる。

 (1) 緑色の画像は、単に不要なものがまぎれこんだだけであり、論文の真実性には何ら影響しない。単に論文にゴミが入っただけのことだ。(あまり何度も書き直したせいで、不要なものがまぎれこんでしまったらしい。)

 (2) 画像の切り貼りは、捏造とは言えない。たぶん、同種の似た画像があって、きれいなものに差し替えよう、と思ったのだろう。「そういうことはしてはいけない」という思いが働かなかったようだ。これも初心者のミスだろう。「画像をきれいに整えるぐらい、やったっていいわ。どうせどっちも同じことをやった実験写真なんだし。悪いことは何もないわ」と思ったとしても、不思議ではない。(初心者にはありがちかも。)
 なお、仮に捏造するとしたら、画像の切り貼りなんかはしなかったはずだ。ゼロから嘘写真を作り上げただろう。
 現実にはそうではなくて、二枚の写真を切り貼りして合成したようだ。これは、その二枚の写真がいずれも真実であったからこそ、そういう操作をしてしまったのだろう。
 だから、画像の切り貼りがあったということは、「捏造があったこと」を示すというよりは、「捏造がなかったこと」を示す、と見た方がいい。
 ま、厳密な意味では、「画像の捏造があった」とは言えるが、「実験の捏造があった」とは言えない。その意味では、これまでの捏造事件とは、全くレベルが異なる。「きれいに見えるように画像をいじった」という程度のことにすぎない。
( ※ やっていいことではないのだが、初心者だとそれに気づかなかったのだろう。)

 [ 付記2 ]
 STAP細胞について、「真実だろう」「捏造だろう」などと、いろいろと予想を語る人が多いが、根拠もなしにあれこれ予想を語るべきではない。根拠もなしに憶測を語っても、「群盲象を撫でる」のに似て、見当違いの駄弁ばかりとなる。社会のノイズが増えるだけだ。
 よくわかっていないのであれば、人は口を閉じていた方がいい。「誰か説明してくれ」などと要求する人もいるが、実際には、まだよくわかっていないのである。
 今の時点では、「根拠のある推察」は別として、根拠もない憶測を書くよりは、黙って口を閉じたまま、結果が出るまで待っている方がいいだろう。
 私の予想では、そのうち、追試に成功して、「 STAP細胞は真実であった」と判明するはずだ。そのころ、「かつて大騒ぎしたのは馬鹿馬鹿しかったな。ただの無駄な騒ぎにすぎなかったな」と気づくはずだ。
 
 [ 余談 ]
 私の予想が当たるかどうかが問題だが、こと科学に関する限り、私の予想はだいたい当たってきた。(世間で大きく物議をかもした話題。)
 目立つ話題では、「光速よりも速い粒子」という話題がある。これについては、私は下記項目で結末を予想した。
  → 続・光速よりも速い粒子
 この予想は結果的に正しいと判明した。つまり、予想が当たった。

 医学関係では、次の例がある。
 「豚インフルエンザは、大騒ぎをする必要はない。春夏には罹患者がいくらかは出るが、冬には例年のインフルエンザ程度で収まるはずだ」
 この私の見解は、当初は少数派だった。しかしその後、私の見解が正しいと判明した。




 【 関連サイト 】

 本項では画像の詳細については分析しなかった。画像の疑惑について詳しい情報を知りたければ、下記を見るといい。
  → http://togetter.com/li/630995

 ※ ただ、見たとしても、「ただの初歩的ミスにすぎないので、見るだけ無駄だ」というのが、私の見解だ。
posted by 管理人 at 21:36 | Comment(10) | 科学トピック このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
Posted by Jan Hendrik Schon at 2014年02月23日 00:03
 ↑ のリンクは、上で示した
   http://togetter.com/li/630995
 とだいたい同じ。私の評価も同じ。
Posted by 管理人 at 2014年02月23日 00:04
管理人殿の「予想」がこれまで結構当たってきたのは
認めますが、今回は不利な状況証拠が多すぎですね。

捏造ではないにしても、所謂「病的科学」の匂いが漂います。
Posted by たろう at 2014年02月23日 00:41
 追試がすぐには成功しないのは当たり前のことで、iPS や高温超伝導だって、安定した追試結果が出るには1〜3カ月ぐらいの時間がかかりました。1〜2カ月たつまでは何も言えない、というのが常識です。(今日で1カ月)
 あと、私の見解では再現性の低さがあって当然なので、もうちょっと時間がかかっても当然だと言える。

 病的科学というよりは、初心者の細かなミスが多すぎると言える。メンデルの実験に似ている。

Posted by 管理人 at 2014年02月23日 07:12
>真実だけがもつ特有の美しさ

それ、わかります。「意外と単純」感というかなんというか、占星術殺人事件とか「3階から卵を割らずに落とせ」のこんなのみたいな感じ。http://viharati.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-3e5d.html

しかし、いい表現ですね。メモっていいですか?(笑)

Posted by viharati at 2014年02月23日 18:15
説得力がありそうでない内容ですね。
「(3)多能性の説明」でSTAP細胞は存在すると断言するだけの確固たる証拠が示されると期待してたのですが、管理人の推測が書いてあるにすぎなかった、、
彼女は初心者のミスでは片付けられないほど常習的に画像を偽造しています。
本人だけしか見た事のない結果を証明するための画像が偽造されているのだから、なにをどうねじ曲げれば「断言」などと強く言えるのでしょうか?
年に一度はコンプライアンス講習の受講が義務づけられている昨今、画像の細工がコンプライアンス違反であるこは研究者なら知っているはずです。それを初心者のミスで逃れられるとでも思っているのでしょか?そんなことがまかり通るのならこれから同じことをして名声を得ようとする研究者がでてくるでしょう。「断言」します。
分裂した新しい細胞が未成熟であった場合STAP細胞になるという予測ですが、STAP細胞が出来る瞬間の動画を見る限り、STAP細胞になる予定の細胞は分裂などせず、そこにとどまったままSTAP細胞になっていますよ。どう説明しますか?もちろんあの動画が本当にSTAP細胞になる瞬間を捉えたものであるのならの話ですが、、
Posted by るまんど at 2014年02月24日 03:59
> なお、仮に捏造するとしたら、画像の切り貼りなんかはしなかったはずだ。ゼロから嘘写真を作り上げただろう。

普通ならそう思うでしょうが、おそらく彼女は「やったっていいわ。どうせバレるわけないし」という考えだったのでしょう。ほとんどの犯罪者が明白な証拠を残すのと同じです。ツイッターなどで犯罪自慢する人々に対して「なぜこんなことを?」と思ったことはありませんか? それと同じです。

ですので私の解釈からは、画像の切り貼りがあったということは、逆に「STAP細胞も捏造である」と見るべきだと考えます。画像の切り貼りでの捏造よりも、正しいデータを出すほうが、物理的にも精神的にもはるかに楽だから。

鋳型DNAが本当にあれば、PCRなんて半日でやりなおせますよ。それでも切り貼りしてしまったのは、鋳型DNAがないからでしょうね。
Posted by A549 at 2014年02月24日 05:52
> 彼女は初心者のミスでは片付けられないほど

 論文作成の初心者という意味です。論文が掲載されたことはほとんどないんだし。

> 偽造

 真性の画像を切り貼りすることは、強く「偽造」と言うほどのものではなくて「加工」という程度です。

> 分裂などせず、そこにとどまったまま

 誤読です。前々項を読み直してください。

 ──

> 画像の切り貼りがあったということは、逆に「STAP細胞も捏造である」と見るべき

 その論理的跳躍にはついて行けませんね。科学と言うよりは憶測や妄想に近い。ま、思うのは勝手ですけど。
 あなたの主張に従うと、メンデルの法則も虚構なんでしょうね。(メンデルもデータを操作していた。) 
Posted by 管理人 at 2014年02月24日 07:09
東大の加藤先生は、その「切り貼り」が重なったあげくに責任をとって辞職しました。大きな実績があった肩です。
「結論があっていれば画像を操作しても許容される」「些細なミス」とは、研究職として非常に不適切な思考かと思います。

例にあげられているトギャッターのまとめは情報がかなり古く、現在は他に問題視される画像操作が話題となっております。
また免疫学の見地から大きな疑問が出されています。
小保方さんの論文の不信な点は、このブログにあげられていることがすべてではありません。
特許の記載の件、2011年論文の揃いすぎているデータなど、現在疑念がいくつも上がっている状態です。
たとえばカリフォルニア大学Knoepfler博士のサイトを、どうぞごらんください。
http://www.ipscell.com/

STAP細胞のようなものが実在するとしても、小保方さんには説明し、責任を負うことが必要かと感じています。研究ノートの公開や生データの第三者機関による調査などは必須ではないでしょうか。

メンデルのデータ修正は「現代の研究者の倫理観」で言えば当然アウトでしょう。
ただ、それでメンデルの理論が消えかというと、そうではなく、彼よりも実直な研究をする誰かがいずれ事実にたどり着いたと思います。

なおMAPC細胞はその再現性の低さから懐疑的な見方が主流ですので、ここでSTAP細胞実在の例に出すのは不適切だと感じます。
Posted by 通りすがりですが at 2014年02月24日 08:17
捏造ではないとする根拠があまりにも酷い。
今回の発見が正しいとすれば、従来の問題点がいくつも解決するから正しいのだろうというのは、科学者とは思えないおかしなスタンスですね。病的科学の典型例なのでは。
Posted by 通りすがりの研究者 at 2014年02月24日 10:18
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