名古屋車突入:速度緩めず歩行者に 衝撃音と共に悲鳴

毎日新聞 2014年02月24日 00時54分(最終更新 02月24日 02時18分)

歩道に突っ込んだ乗用車を調べる捜査員=名古屋市中村区名駅で2014年2月23日午後3時22分、兵藤公治撮影(一部画像を処理しています)
歩道に突っ込んだ乗用車を調べる捜査員=名古屋市中村区名駅で2014年2月23日午後3時22分、兵藤公治撮影(一部画像を処理しています)
事故の状況
事故の状況

 乗用車が歩道の人だかりに突っ込むと、衝撃音と共に悲鳴が上がった−−。多くの買い物客らでにぎわう休日の名古屋駅近くの笹島交差点で白昼に発生した暴走車両による無差別の殺人未遂事件。大野木(おおのぎ)亮太容疑者(30)が現行犯逮捕されたが、一瞬のうちに13人がはねられて重軽傷を負った現場に居合わせた人々は恐怖におびえ、容疑者への怒りをあらわにした。【和田憲二、石山絵歩、岡大介】

 「スピードを緩めたりハンドルを切ったりする様子もなく、本当に怖かった」。1人で買い物に来ていた愛知県みよし市の会社員、不破健太さん(24)は、乗用車が歩行者に突っ込んでくる瞬間を目撃した。車は歩道に進入して約30メートル突っ走る間に、信号待ちしていた人々を次々とはね、不破さんの脚をかすめて街路樹に正面衝突して停止したという。

 「キャー」「ワー」。叫び声を上げながら人々は走って逃げたが、歩道には血を流して倒れた人や、ハンカチを顔に当てて座り込む人も。車にはねられ腰を打ったという愛知県小牧市の会社員、洞寿志さん(24)は「信号待ちで横を向いていたら車の音がして振り向いたら突っ込んできた」と、ぼうぜんとした様子で話した。

 現場には救急車や消防車、警察車両など数十台が急行し、歩道は人だかりで埋め尽くされた。交差点のすぐそばで路上ライブを聞いていた大学3年生の女性(21)は「『ドン』という音の直後に女性の悲鳴が聞こえて、振り返ったら10人くらいの人がぐったりして倒れていた。あまりに突然のことですぐに反応できなかった」と振り返る。

 愛知県岡崎市の女性(30)は「人に次々に当たるような音が聞こえ、振り返ると頭から血を流している人がいた。ぞっとした」と青ざめた表情で話した。

 暴走車は街路樹にぶつかって止まっていた。すぐに周りにいた数人が窓をたたき、運転していた大野木容疑者に降りるよう促したが、顔から血を流し、うつむいたまま動かなかったという。

 大野木容疑者に呼びかけた大阪府の男性会社員(24)は「私たちに気づいていたが出てくる様子がなく、警察官2人に引きずり出されるようにして車から降りていった。周りから、怒号のような声も飛んでいた」と話した。

 ◇民生委員に自ら相談

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