ウクライナ:ヤヌコビッチ政権崩壊 出国に失敗か

毎日新聞 2014年02月24日 01時20分(最終更新 02月24日 01時33分)

ウクライナの東部と西部
ウクライナの東部と西部

 【キエフ田中洋之】政治混乱が広がるウクライナの与党・地域党は23日、ヤヌコビッチ大統領に今回の危機の責任があると非難する声明を出した。同党は離党者が相次ぎ、連立を組んでも最高会議(国会)で過半数を維持できない状態に陥った。大統領は徹底抗戦の構えを崩していないが、出国を試みて失敗したとの報道があるなど、与党内で求心力を失っており、政権は事実上崩壊した。与野党対立の激化が政変に発展したことを受け、今後は東西分裂や地域間の衝突を回避できるかが焦点となる。

 最高会議は23日、前日に選出したトルチノフ議長を大統領代行に選出した。トルチノフ氏は、ティモシェンコ元首相の側近。また、挙国一致内閣を組閣する期限を今月25日に設定し、コジャラ外相とボガティリョワ保健相らヤヌコビッチ政権下の閣僚の罷免を決定。最高会議は内相や国防相、検事総長など、軍や治安機関の暫定トップを次々と指名しており、野党が権限掌握を着々と進めている。

 タス通信によると、次期首相は野党第1党「祖国」の指導者の一人、ヤツェニュク氏らを中心に人選が進められている。

 ヤヌコビッチ大統領の「政敵」で、22日に収監先の東部ハリコフの施設から釈放されたティモシェンコ元首相は、5月25日に実施が決まった大統領選への出馬を表明。その後キエフへ移動し、野党支持者の活動拠点となっている「独立広場」で演説して政界復帰をアピールした。

 ドイツのメルケル首相は23日、ティモシェンコ氏と電話で協議し、釈放と政治活動の再開について「ウクライナ情勢を安定させる上で重要な要素になる」と祝意を示した。欧米諸国は、ティモシェンコ氏が2011年に職権乱用罪で実刑判決を受けたことについて「政治判断」と批判し、海外移送を求めていた。

 インタファクス通信によると、ヤヌコビッチ大統領は22日に出身地の東部ドネツクからチャーター機で出国を試みたが、ウクライナ国境警備当局が書類の不備を理由に離陸を許可しなかった。その後2台の車に分乗し、空港を離れたという。AP通信は23日、側近の話として、大統領が22日に訪問していたハリコフに今も滞在中と伝えている。

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