【コラム】日本に何度も裏切られた米国

 米日関係は特殊だ。ペリー提督の黒船が江戸末期の1853年に現れてからこれまで、日本は幾度も米国を裏切ったが、そんな日本を米国は相変わらず「アジアの戦略パートナー」にしている。

 米日の特殊関係の土台を築いた人物は、セオドア・ルーズベルト大統領だった。アングロ・サクソン優越主義者だったルーズベルト大統領は、韓国・中国・フィリピンを「未開国家」と見なす一方、日本については「ロシアの南下を阻止するアジアの優等生」と考えた。ルーズベルト大統領を「親日派」にした人物は、ハーバードで共に法学を学んだ金子堅太郎だった。金子は巧みな話術と洗練されたマナーで「ホワイトハウスの同窓生」を丸め込み、桂・タフト協定を引き出した。この密約で、日本は韓半島(朝鮮半島)併合の道を切り開き、その後100年以上にわたり米国の友人となった。

 米国は、20世紀初めの日本の工業化も支援した。1940年に日米通商航海条約が破棄されるまで、米国は日本産の工業製品を大量に輸入する一方、日本へ石油やスクラップを輸出し、軍需産業の成長を支援した。6・25戦争(朝鮮戦争)時には兵たん基地の役割を任せ、廃虚と化した島国の経済をよみがえらせた。

 19世紀後半以降「恩人」も同然だった米国に対して、日本は太平洋戦争を起こし、恩をあだで返した。注目すべき点は、米国に対する日本の裏切りは「国益のためならどんなことでもやる」という日本の権力層の行動特性の延長線上にあるという点だ。日本は真珠湾を攻撃する前、既に朝鮮の皇后を殺害し、数万人のアジア女性を慰安婦にした上、南京の市民およそ30万人を虐殺し、生きている人間を動物のように扱って生体実験を行った。戦後も、日本は米中和解に驚いて、米国よりも先に中国と国交を正常化するという小ざかしさを示し、2000年代前半に韓国と北朝鮮が接近すると、あれほど嫌悪していた北朝鮮と素早く首脳会談を行った。

 最近の安倍政権の行動も、こうした歴史の慣性から大きく外れてはいない。安倍首相は「侵略の定義は、学界でも国際的にも定まっていない」として、A級戦犯14人が合祀(ごうし)されている靖国神社を参拝した。安倍首相の行動は「日本は戦争で負けたから侵略者とレッテルを貼られただけで、道徳的に非難されるいわれはない」という認識から出発している。戦争責任や戦犯裁判を否定する考え方だ。それどころか日本は、むしろ戦争の被害者だと宣伝している。この論理が発展していけば、日本はいずれ米国に「原爆投下を謝罪し、賠償すべき」と要求するかもしれない。

 オバマ政権は「台頭する中国のけん制」という目先の目標に気を取られ、日本の平和憲法無力化や軍事大国化に隠された「裏切りの種」を見逃しているようだ。韓中が提起する日本の歴史認識問題は、決して過去のことではなく、未来と直結している-という点を理解しなかったり、務めて目を背けたりしている。未来のいつの日か、米国が日本の国益の妨げになっていると感じたとき、「天皇は神」と学んだ世代は「第2の太平洋戦争」を考えるはずだ。そんな日が来たら米国人は、2014年初めにソウルを訪れてトッポッキ(棒状の餅を甘辛く煮込んだおやつ)を食べただけで帰っていった国務長官を恨むことになるだろう。

池海範(チ・へボム)東北アジア研究所長
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