ロケット:和の魂、宇宙へ 福岡の書家がロゴデザイン

毎日新聞 2014年02月23日 18時19分(最終更新 02月23日 20時08分)

平松さんが考案した筆文字のロゴ=JAXA提供
平松さんが考案した筆文字のロゴ=JAXA提供

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が28日打ち上げ予定のH2Aロケットの機体に、墨痕鮮やかな筆文字のロゴデザインを描き入れる。アルファベット3文字「DPR」で、世界最先端の技術を使った国産降水レーダーの略称だ。ロゴを考案した福岡市のデザイン書道家、平松聖悟さん(67)は「まさに宙へ舞い上がる気持ち。レーダーを搭載した衛星が世界の役に立ってほしい」と打ち上げ成功を期待している。

 JAXAによると、DPRは、2周波降水レーダー(デュアルフレケンシー・プレシピテーション・レーダー)の略称。周波数が違う2種類のレーダーを大気中の雨粒や雪に当てて、反射の強さで降雨量を観測する。これまで観測できなかった弱い雨も観測可能で、データもより正確になる。

 DPRは、JAXAが米航空宇宙局(NASA)と共同開発した降水観測衛星のメイン装置。この衛星などを使い、地球規模の降雨観測システムを構築する計画だ。

 平松さんのロゴが採用されたのは、JAXAから依頼を受けた関係者が2011年1月、東京で開かれた平松さんの個展を訪れたのがきっかけ。個性的なデザインに魅力を感じ、平松さんがロゴ選定のプレゼンテーションに参加するよう求めた。

 平松さんは考案に際し「ロケットが打ち上がる勢いとうるおい、衛星が地球を回る情景をイメージした」という。JAXAの「日本の技術の結晶である点を強調したい」という狙いとも一致。約200あった素案の中で、開発に携わる技術者、科学者らの圧倒的な支持を受けた。NASAからも「日本の魂を感じる」と好感触を得たという。

 DPRは12年3月、NASAに引き渡され、降水観測衛星に組み込まれた。衛星は13年11月、鹿児島県・種子島宇宙センターに搬入された。ロゴはロケット上部に縦84センチ、横150センチの大きさで描かれる予定だ。【津島史人】

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