川崎駅:回送電車と工事車両衝突、横転 人為的ミスか

毎日新聞 2014年02月23日 20時22分(最終更新 02月23日 22時48分)

脱線した京浜東北線の回送電車。横転した電車の左側に工事車両が見える=川崎市で2014年2月23日午前8時55分、本社ヘリから
脱線した京浜東北線の回送電車。横転した電車の左側に工事車両が見える=川崎市で2014年2月23日午前8時55分、本社ヘリから

 23日午前1時10分ごろ、川崎市のJR川崎駅構内で、北行き京浜東北線回送電車(10両編成)が、線路上に止まっていた軌陸型運搬機(軌陸車)と呼ばれる工事車両と衝突。先頭車両が横転し、2両目も脱線した。運転士(34)と車掌(25)の男性2人が頭などに軽傷。JR東日本によると、終電通過前の線路上に軌陸車が進入したのが原因とみられ、人為的ミスの可能性が高い。国土交通省運輸安全委員会が原因の調査を始め、神奈川県警幸(さいわい)署も業務上過失傷害容疑で調べている。

 JR東などによると、この回送電車は北行きの終電。時速約60キロで走行しており運転士が100〜200メートル手前で軌陸車に気付いたが間に合わなかった。鉄建建設と大林組の共同企業体(JV)が終電通過後、信号を赤にして工事区間に電車が入れなくする「閉鎖」の措置を取ってから、同駅北口自由通路の新設工事に入る予定だった。JR東の調査に軌陸車の運転手(43)は「間違って閉鎖していない線に乗せた。外そうとしたが間に合わなかった」と話している。

 閉鎖は責任者(65)が携帯端末でJR東の輸送管理システムを通して手続きしており、JR側はチェックや現場での立ち会いをしていない。閉鎖責任者は「隣の南行きの閉鎖手続きを終え、北行きの運行状況を確認していた最中に事故が起きた」と話したという。

 なお、同線には列車同士の衝突を防止する自動列車制御装置(ATC)が導入されているが、軌陸車の位置は検知できない仕組み。

 京浜東北線は23日の始発から蒲田−鶴見間の運転を終日見合わせ、大宮−蒲田間と鶴見−大船間で折り返し運転を実施。JR東は、事故車両の撤去や運輸安全委の調査後に安全を確認し、24日の始発から通常運転する見通し。【北川仁士、河津啓介、高橋直純】

 【ことば】軌陸型運搬機

 下部に無限軌道が付いており、線路も一般道路も走行することができる運搬用機械。全長5.1メートル、幅2.5メートル、高さ2.4メートルで重さは9.5トン。今回はJR川崎駅北口自由通路の新設工事に伴う資材運搬に使用していた。

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