メキシコ:麻薬密輸の首領を逮捕

毎日新聞 2014年02月23日 20時37分

 【サンパウロ朴鐘珠】メキシコ最大の麻薬密輸犯罪組織シナロア・カルテルの首領で指名手配中のホアキン・グスマン容疑者=通称エルチャポ(ちび)=が22日、メキシコ西部シナロア州マサトランの高層マンションに潜伏していたところを見つかり、逮捕された。

 メキシコ、米国両政府の最大の標的だったグスマン容疑者の逮捕で、メキシコ政府が2006年末に開始した麻薬密輸犯罪組織(カルテル)掃討作戦は一区切りとなる。しかし、グスマン容疑者の逮捕で生じた力の空白を埋めようと、カルテル同士の抗争が激化し、より凶暴な新興カルテルが台頭する可能性もある。

 米国で売られるコカインの約9割はメキシコから流入するため、米政府は国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者を11年に殺害した後、グスマン容疑者を最大の標的にしていた。50代後半のグスマン容疑者は1993年に逮捕されてメキシコの刑務所に収監されていたが、01年に脱走。メキシコ政府は3000万ペソ(約2億3000万円)、米政府は500万ドル(約5億円)の賞金を懸けていた。

 全世界に密輸ネットワークを拡大したグスマン容疑者の資産は推定10億ドル(約1000億円)。09年には米フォーブス誌の長者番付入りした。

 メキシコ政府はカルテルとある程度癒着することで影響力を保ってきたが、06年に当時のカルデロン大統領が米国の支援を受けてカルテル掃討作戦を始めると中央政府は影響力を失い、密輸ルートを奪い合うカルテル同士の抗争が激化。7万人以上が殺され、数万人が行方不明になった。

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