ウクライナ:野党首都占拠 大統領は非難「クーデターだ」
毎日新聞 2014年02月22日 23時44分(最終更新 02月23日 01時36分)
【キエフ田中洋之】与野党対立が深刻化したウクライナでは22日、ヤヌコビッチ大統領が去った首都キエフで、デモ隊が大統領府や私邸を支配下に収めた。野党側は最高会議(国会)も掌握し、大統領の罷免を採決した。一方、大統領は徹底抗戦の構えで、与野党支持者の全面衝突と東西分裂の恐れも含む事態となった。
一方、ヤヌコビッチ大統領の「政敵」で、2011年から職権乱用罪で服役中のティモシェンコ元首相が東部ハリコフで釈放され、次期大統領選へ出馬する意向を表明した。
ヤヌコビッチ大統領は22日、支持基盤のハリコフで、地元メディアに対し「これはクーデターだ」と野党側を非難。「私は正当な大統領で国を離れない」と辞任の意向を否定した。また、乗車していた車が銃撃されたと主張した。
政権が掌握する首相府は「内閣は平常通り機能しており、憲法と法律にのっとり責任ある権力の移譲を実施する」との声明を発表。国軍の参謀総長は政治不介入の意向を表明した。
キエフでは最高会議が21日に罷免を決めた内相の代行に、ティモシェンコ氏の側近アバコフ氏が就任。検事総長には野党「自由」党員のマフニツキ氏が指名された。大統領府はデモ隊が掌握、治安部隊も市内から姿を消し、内務省は「民衆側に立ち早急な変革を求める」との声明を出した。
一方、最高会議は22日、ヤヌコビッチ大統領の罷免を賛成多数で決議し、5月25日の大統領選実施を決めた。また、与党・地域党のルイバク議長ら幹部が辞任し、後任の議長に野党「祖国」のトルチノフ氏が選出された。
ハリコフでは22日、東部と南部の地方議員の集会を開き、野党側が掌握した最高会議の正当性を認めない決議案を採択。非常時に備え、必要な手段を講じることで合意した。