フランス:核のごみ捨て場計画難航 新たな安全確認要求
毎日新聞 2014年02月23日 01時40分(最終更新 02月23日 01時50分)
一方、計画の推進自体に反対する「脱原発ネットワーク」のシャルロット・ミジョン報道担当は「討論会は現地での開催が中止された段階で失敗している」と語り、現地の反対派住民の支援を続ける意向を示した。強硬な態度を取る反対派との議論は平行線をたどっている。
最終処分場建設計画を巡っては、昨年11月、隣国ルクセンブルクの保健相やドイツの地方政府閣僚が安全面を懸念する共同声明を出すなど国内外で安全面の不安や利害が交錯している。
◇専門家「進行が速すぎる」
パリで今月1日に開かれた住民代表と専門家との質疑は約100人が出席し、昼食を挟んで約10時間、多岐にわたるテーマが議論された。
専門家からは現在の計画の進行が速すぎるとの指摘が相次いだ。物理学者は「放射性廃棄物には未解明な部分があり、追加の実証試験が必要」と指摘。放射線防護・原子力安全研究所の研究者も「最終決定を下すには時間不足だ」として「貯蔵試験期間」の新設を求めた。
事故時の放射線の影響については、放射線の専門家がチェルノブイリの事故や日本の福島第1原発事故、第二次大戦中に原爆が投下された広島、長崎での放射能汚染の事例を紹介した。情報提供や報道が十分でないとの指摘に対して、仏メディアの記者らが「複雑な科学的技術を説明する難しさ」などを挙げ、弁明する場面もあった。
倫理面の意見交換のために呼ばれた建設予定地付近の神父は「原子力は短期間でエネルギーを生むが、廃棄物は扱いすら分からないまま想像できないほどの未来まで残る。原子力を開発した時点で、私たちは将来の世代に責任を負っている」と戒めた。