◇プロ第3戦ノンタイトル戦
【マカオ竹下陽二】ロンドン五輪ボクシングミドル級金メダリストで、東洋太平洋ミドル級1位の村田諒太(28)=三迫=が、豪快にデビュー3戦連続KO勝ちを飾った。元WBCラテン・スーパーウエルター級チャンピオンのカルロス・ナシメント(36)とミドル級8回戦で対戦。4回43秒、猛打で完全に相手の動きを止めてTKO勝ちした。海外進出の第一歩となる試合で世界に力を見せつけ、次戦は5月ごろに日本で行う予定。秋にシンガポールで5戦目をこなし、年内の米国デビューも視野に入れる。
派手さはない。あっけないほどの幕切れだった。4回開始早々、村田がナシメントに連打を浴びせると、レフェリーが試合を止めた。勝負は前の回についていた。終盤に狙いすました右アッパーでぐらつかせると、連打でダウンを奪った。ゴングに救われた36歳のブラジリアンは、その時、既に戦意を失っていた。
ナシメントは36歳とピークを過ぎているが、2007年5月にWBO世界スーパーウエルター級王座に挑戦した実績がある。プロ戦績は28勝22KO3敗と豊富だ。プロ3戦目の村田にはタフな相手だ。だが、世界を目指す男にとっては、単なる通過点だった。
昨年8月のデビュー戦では、東洋王者柴田明雄を倒した。12月の2戦目も8回TKOで仕留めた。だが、この試合で無名の米国人にてこずったことで、プロの厳しさを感じた。その教訓を生かし、力でねじ伏せるアマ時代の戦法を改め、ジャブを多用し、上体を左右に振るなど柔らかさを身につけた。「自己分析すると、8月に派手にデビューして、自分で派手さを求めていた。でも、12月の試合を経験して、派手さから解放された。3試合目は自分でもびっくりするほど落ち着いていた。これからも、組んでいただいた試合をこなしていくだけ」と村田。
次戦は5月ごろに日本で。その後、シンガポールで5戦目を。秋以降から来年にかけて、元6階級世界制覇のスーパースター、マニー・パッキャオ(フィリピン)の米国ラスベガスでの試合の前座で起用するプランも着々と進行中だ。「やっとプロでの試合が分かってきた。前の試合より成長していると思うし、かといって、このままいっても世界に通用するわけではない」という村田の行こうとしている道は、決して平たんではない。だが、可能性に満ちあふれている。
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