握手を交わす名古屋の西野監督(右)と野田=東京都内のホテルで(沢田将人撮影)
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名古屋グランパスの西野朗監督(58)が21日、村井満チェアマン(54)からの「リスタート(FKやスローイン)を早く」との要請に対し、「一概に早くやれとかじゃなく、柔軟に」と持論を展開した。東京都内で行われたJリーグ・キックオフカンファレンスに出席。これに先立ち行われた監督会議の席で、チェアマンから試合のスピードアップを要求された。しかし魅せるサッカーを追求してきた豊富な経験から、異なる視点でのサッカーの見方を提案した。
その話題に触れたとき、名将の口調が熱を帯びた。J1からJ3まで全51クラブが集い、華やかにJリーグ開幕を告げるキックオフカンファレンス。試合のスピードアップを要求する村井チェアマンの「3つの約束」について問われた西野監督は「早くさせたいならルールを規定すればいい。持ち時間制みたいに。でもやっぱり一概に早くやれとかじゃなく、柔軟に」と反論した。
監督会議では村井チェアマンから「笛が鳴るまでプレーを止めない」「リスタートを早くする」「選手交代は素早く」という3点を要求された。いずれも試合中の実際のプレー時間を長くし、90分間の“濃度”を上げるためのもの。Jリーグへの関心が6年間で15%も落ちているという調査結果を受けたもので、新チェアマンの危機感が反映された異例の要請だ。
しかし西野監督の考えは違う。「1分時間がほしい、逃げ切りたいとか、いろいろな戦略もあるし、(G大阪の)遠藤がセットプレーへのアプローチで脈拍を落としていたり、時間の使い方には駆け引きがある。目が肥えていればそういうこともわかる」と、ボールが止まっている時間も重要な試合の一部と力説。「(中村)俊輔や遠藤がセットプレーでボールにアプローチする場面は絵になる。そういう醍醐味(だいごみ)もある」と、ファンにとって見どころでもあると主張した。
もちろん、「当然のことを言われたと思う」と理解も示したように、スタジアムで魅力ある90分間を提供したい思いは同じ。ただし、そのやり方には個性があっていい。グランパスは西野流で、22年目のJリーグを盛り上げる。 (宮崎厚志)
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