【シドニー=石川潤】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が豪シドニーで22日開幕し、新興国の通貨不安を解消するため、新興国自身が改革に取り組むことが必要との認識で一致した。金融緩和の縮小を進める米国には、新興国や市場に向けて丁寧な説明を続けるように求めた。世界経済の成長に向けた数値目標は23日に討議し、同日発表する共同声明に盛り込む。
「通貨安や資本の流出に直面した国は高インフレや経常赤字などの国内問題を抱えている」。会議では日本の麻生太郎財務相が「新興国自身の政策努力」を求めた。
米金融緩和の縮小をきっかけに、今年1月から2月にかけて新興国から株式などへの投資資金を引き揚げる動きが加速した。インド準備銀行(中央銀行)のラジャン総裁が「先進国は身勝手」と批判。米国への不満が一部で高まっていた。
ところが22日の会議では、新興国からの目立った反論は出なかった。G20で対立が表面化すれば、かえって市場の不安をあおりかねない。会議が始まる前から、新興国の間では「本気のけんかを避けるムード」(参加国の中銀関係者)が強まっていたという。
一方で新興国から米国に対しては「自国の政策が他国に与える影響」について、正確に伝えるように求める声があがった。こうした努力を怠れば「新興国との間にギャップが生まれる」(麻生財務相)と日本も同調。新興国や市場との対話を引き続き重視することが、国際会議のデビュー戦となるイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長への宿題となった。
先進国と新興国の協調を演出する雰囲気が強まるなか、G20は23日の2日目の討議で、世界経済の成長を5年程度で2%以上押し上げるという数値目標の導入を決める。そのうえで参加国に対し、11月に豪ブリスベーンで開く首脳会議までに、具体的な対応策を示すように求める。
新興国の成長の鈍化が指摘されるなか、先進国を含めたG20全体で経済成長への努力を急ぐことが目的だ。ただ国別ではなく、世界全体での目標になるため、それぞれの国がどれだけの改革を求められるかは不透明。G20が成長戦略に継続して取り組む姿勢をみせなければ、目標が形骸化してしまう危うさも残る。
麻生太郎、ラジャン、イエレン、G20、シドニー
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