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beロゴ2010年12月11日付紙面から
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よほど陰湿ないじめ以外は騒ぎ立てないでほしい

――いまの子どもたちに一番足りないものは何でしょう。

成功体験ですね。幼児から小学校低学年にかけ、初めて家庭以外の「社会」にもまれます。この時期に、周囲の友達からすごいと認められたり、トラブルを乗り越えて母親からほめられたりした小さな経験が、将来の自立につながるんです。でも、いまの母親たちにはほめるだけの心理的な余裕が少ない。

うちの学習会では、子ども5人に1人のスタッフをつけ、どんな小さなこともほめます。そして、そのことを毎回連絡帳に書く。書き残せば、それを見た母親も子どもをほめてくれるわけです。

――ご自身の成功体験は?

大きな出来事は、小学5年生の時。ぼくの後頭部が大きいので、教室に入ると全員が「デコッパチ! デコッパチ!」と、手をたたいてはやし立てる。あとは一日中、全員無視。万力に頭を入れ、母親に縮めてもらおうと真剣に考えるくらい悩みました。

でも、いじめの一環で児童会長に立候補させられた際、開き直って、全校の前で「頭のでっかい高濱です」とクルッと後頭部を見せてみたんです。そうしたら、会場がどっと沸いて、いじめはピタッと止まりました。いまもよく、保護者に言うんですよ。よほど陰湿ないじめ以外は騒ぎ立てず、打ち勝つ子どものフォローに回ってあげてほしいと。

3浪、4留…

――熊本高校から3浪、東大でも4回留年されたとか。

「シャイニング ハーツ パーティー」で長男の丈太朗君(左)らとともに歌う=さいたま市

高3で初恋をして大学受験に失敗。浪人時代は、パチンコやマージャンに明け暮れ、気づいたらぼくだけ3浪。1人で上京して予備校に通い、ようやく東大理科II類に入学しました。ところが、留学から帰国した友達から「お前無駄なことやっとるね。勉強、勉強って、与えられた課題をこなして満足なだけでしょ」と言われた。ショックでしたね。

何のために生きるのかを問い続けました。仲間と「高田馬場クリエーティブクラブ」というグループを作り、美術館をめぐったり、落語を聞いたりして、議論、議論……。必死で牛乳配達をしながら働く意味を考えてもみました。4回留年し、回り道だったけれど、今思えば大切な時間でした。そのころの仲間は、熊本県水俣市の町おこしの立役者や、検事、会社社長になっています。

――なぜ、教育の道に?

自分で哲学した結果、人は人とつながり、感動するために生きているんだと思ったんです。それが、ぼくにとっての「教育」でした。過去に見た映画の記録や、アジアを放浪した時の日記を見直すと、子どもたちの純粋な笑顔への感動がつづられていて。「あっ、やっぱり子どもなんだ」と思った。

――NPO法人「子育て応援隊むぎぐみ」の理事長もしています。

どんな子でも受け入れるというのが、私のモットー。だから、「花まる学習会」を立ち上げて半年後、事務所と同じビルに開業した友人の精神科医と連携し、ひきこもりや不登校、発達障害児のカウンセリングを始めました。いまは10人の臨床心理士を含む40人のスタッフで、個別教育やカウンセリングをしています。

それとは別に、「花まる」に通っていた子のお母さんたちが、子育てを語り合うサークルを作ったんです。その活動が年を重ねるごとに広がってきたので、じゃあ、一緒にNPO法人にしよう、と。

――障害児の親子向け無料コンサートも毎年開催していますね。

「シャイニング ハーツ パーティー」といって、2010年も11月にさいたま市文化センターでやりました。8回目です。息子もそうですけど、障害児が生の音楽を聴ける機会って、少ないんです。ぼくは、音楽家をめざした時期もあるし、同級生にミュージシャンもいる。知人たちの支援で、大きなコンサートを開くようになりました。会場では、就労支援相談もしています。

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