【モスクワ=石川陽平】反政権デモを続ける野党勢力と警官隊の衝突で多数の死者が出たウクライナで22日、野党勢力が政府ビルや内務省など首都キエフの中心部と最高会議(国会)を掌握し、国会でヤヌコビッチ大統領の即時退陣を要求した。これに対し、大統領は支持基盤の東部に一時脱出。キエフなど親欧の中・西部と親ロシアの東・南部に国家が分裂する様相が強まっている。
キエフからの報道によると、市中心部では武装した過激派グループが主要な政府施設を占拠する動きが加速している。大統領官邸や政府ビル、議会に加え、内務省など主要な省庁も支配下に置いた。反政権デモの幹部によると、警官隊の多くが反政権デモの側に寝返っている。
地元メディアによると、反政権で野党第1党「連合野党・祖国」のパルビー国会議員は22日「キエフは独立派(反政権デモ)の支配下にあり、かつてないほど秩序が保たれていると示すことが重要だ」と表明した。警察は市中心部で事実上、活動を停止し、代わって反政権デモの「自衛団」が警備にあたった。
国会では22日、連合野党・祖国と野党第2党「ウダル」が、ヤヌコビッチ大統領の辞任を求める決議を採択するよう提案した。ウダルのクリチコ党首は国会で、辞任決議について「前倒し選挙(の日程を)確定できるようになる」と説明。5月25日までに大統領選を実施すべきだと述べた。
政治危機が長期化するウクライナでは21日、野党勢力とヤヌコビッチ大統領が2015年3月に予定された大統領選を14年12月までに前倒しして実施することや憲法改正などで合意。事態収拾を目指しているが、野党勢力は即時辞任の方針を鮮明にしている。
国会は22日、反政権デモを率いる野党勢力が優位を確立した。大統領側近のルイバク国会議長が辞表を提出し、新たに連合野党・祖国幹部のアレクサンドル・トゥルチノフ氏を議長に選出した。
与党「地域党」の議員の多くは22日の国会審議を欠席し、離党者も続出している。
地元メディアによると、キエフで反政権デモが攻勢を強める中、ヤヌコビッチ大統領は21日夜、支持基盤である東部の主要都市ハリコフに脱出した。当面の身の安全を確保し、支持者と今後の対応を協議する狙いとみられる。
国会はまた、21日に採択した各法案に大統領が署名しないため発効しないとして、政府や議会に大きな権限がある04年採択の憲法に戻るとした決議を採択した。大統領の署名なしで法案が効力を持つとしている。分離独立の試みを禁じた決議を採択し、独立状態に向かう親ロの東・南部をけん制した。
ウクライナでは13年11月、政府が欧州連合(EU)と包括的に関係を強める連合協定の調印手続きを突然凍結。親欧路線の転換に反発した野党勢力や市民が大規模な反政権デモを起こした。2月18日に再び激しくなった警官隊との衝突では少なくとも77人が死亡。欧州諸国やロシアが仲介し、21日に大統領と野党勢力が事態収拾への合意文書に署名した。
ヤヌコビッチ、クリチコ、パルビー、反政権デモ、ルイバク、ウダル
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