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児童虐待検証部会 子供の“SOS”見逃さない 県に報告書 静岡

産経新聞 2月21日(金)7時55分配信

 ■強制介入など提言

 県の「児童虐待検証部会」は、県内で発生した虐待事案3件の検証結果をまとめ、関係機関の連携や情報共有の不足を指摘する報告書を県に提出した。県は今後、報告書を基に、県内5カ所の児童相談所などで研修を行い、地域全体で、子供の“SOS”を見逃さない体制をつくっていく方針。

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 同部会は、大学教授や医師、保育園長ら外部の専門家ら7人で構成。関係者へのヒアリングなどを通して問題点を洗い出し、再発防止につなげることが狙い。

 今回、検証対象となったのは、平成23〜24年までに発生した3件の児童虐待事案。このうち1件は、24年2月に宿泊先のホテルで、富士市に住む無職の男性=当時(34)=が、生後9カ月の次女が泣きやまなかったことから、顔面を殴打するなどの暴行を加え、硬膜下血腫で死亡させた事例。

 報告書によると、次女の家族が他県から同市に転居する以前に、家庭内で医療ネグレクトや、保護所からの強引な引き取りがあったことが報告されていたという。しかし、前居住地からの情報提供が遅かったほか、市が一度家庭訪問しただけに終わり、転居から5カ月後に虐待が発生。同部会は「安全確保の視点が不十分だった」と指摘した。

 このほか、裾野市で23年11月、生後3カ月の長男を平手で十数回殴って頭蓋骨を骨折させた事案や、24年4月、富士市で4歳の長女に対して、母親の交際相手の男性が顔面を殴るなどした事案についても検証。いずれも、虐待の危険性がある家庭の情報収集、分析が不十分だったことが課題として挙げられた。

 これらの検証を踏まえて同部会は、家庭環境を分析するアセスメント力の向上▽関係機関との連携強化▽実効性のある「要保護児童対策地域協議会」の運営−の3点を提言。アセスメントした結果を各関係機関で共有し、虐待の可能性が高い場合には「強制的介入を行うべきである」とした。また、個別案件の対策を検討する同協議会については、24年度に県内の全市町で設置が完了。役割分担や具体的な支援方法を定期的に協議するなどして運営を強化することを求めた。

 大島道子部会長は「子供が犠牲になるのは大人の責任。これから県の態勢を一層強めて、子供たちがSOSを発信したときに救えるようにお願いしたい」と述べた。また、報告書を受けとった宮城島好史・県健康福祉部長は「報告書を生かし、このような痛ましい事案が二度と起こらないように全力を尽くしたい」と話していた。

最終更新:2月21日(金)7時55分

産経新聞

 

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