その1 けいっち
おはようなぎにょろにょろ。
大阪難波を拠点とするアイドルグループNMB48のけいっちこと上西恵です。
いつものことだけど、私は大きな問題が発生すると頭が混乱して、いろんなことが頭のなかをぐるぐる回ってしまって、本題と関係ないどうでもよいことばかりを考えてしまうくせがあります。
そして,そのめぐりまわった思考の最後には必ず自分の名前のことを考えてしまいます。私の名前は上西恵と書いて「じょうにしけい」って読むのやけど,世間的には訓読みで読むのが普通らしくてたいてい「うえにしめぐみ」って読まれます。でも私の名前は音読みの「じょうにしけい」が正しい読み方なので,「うえにしめぐみ」って言われると,わたしはとても腹が立ちます。それで,名前を間違った人にわたしの名前は「じょうにしけい」って読みますって,いつも怒って訂正するんやけど,名前の読み方を間違えたからって怒ってしまう自分の器の小ささにいつも落ち込みます。それで,次回からは名前を間違われても怒ることなく,「あっ,よく間違えられるのですけど,わたしの名前は『じょうにしけい』って読むんやで」って,微笑みながら優しく言おうと思うのです。
小さなことで長々とめぐりにめぐりまっわたあげくのわたしの思考回路は名前に対する結論でいるいつも停止してしまうんやけど,わたしの頭のなかは考え疲れてしまって,考えを巡らせるきっかけとなった大問題に対する結論はなんもでないままになってしまいます。まったくおばかなわたしの脳みそです。
いつもなら大きな問題に対する結論がでなくても結果オーライでなんとかなるんやけど,今回ばっかりは問題がとてつもなく大きすぎる問題だけにどうでもいいってスルーして済ますわけにいかんです。
なんといっても,わたしの青春であり,今のわたしのすべてといっていい大切な大切なNMB48の存続に関することなんですから。
何のことかというと,NMB48の人気メンバーであるミルキーこと渡辺美由紀が殺されたことです。
ミルキーはさや姉と並んでNMB48の顔であり,AKB48の選抜メンバーに選ばれるほどの人気者なんやけど,全国的な人気の現役アイドルの殺人事件は一大センセーションとなって世間の注目を浴びています。
事件は待望のNMB48の大阪城ホール単独コンサートのあとに起こりました。ミルキーが自宅からもってきた水筒のどくだみ茶に何者かが毒物を混入させて,大阪城ホールでのコンサートが終わったあと,控え室でミルキーがその毒入りどくだみ茶を飲んだところ,ミルキーはその場で悶絶して倒れてたのです。わたしもそのとき控え室にいたんやけど,毒入りどくだみ茶を飲んだミルキーの苦しみ方はほんとに尋常やなくもがき苦しんでいて,わたしは今でもそのときのミルキーの苦痛でゆがんだ顔を思い出すと怖くて怖くてたまらへんのです。
倒れたミルキーはすぐに救急車で病院に運ばれたんやけど,病院に着いてすぐに息を引き取りました。かわいそうなミルキー。明るくて,頭が良くて,可愛らしいミルキーで,わたしは大好きやったのに。
ミルキーが殺害されただけでもショッキングやのに,ミルキーが殺された翌日にNMB48の劇場支配人の金子剛宛に,ミルキーに続いてNMB48のメンバーを次々に殺していくという連続殺人の予告状が届いたのです。
その予告状はわたしたちNMB48のメンバー全員を恐怖のどん底にたたき落としました。わたしも怖くて怖くて,夜もろくに眠れませんし,家からも一歩もでることはできません。
NMB48のメンバーの殺人予告状が届いてすぐにNMB48の活動休止が決定されました。ミルキーの殺害とメンバーの殺人予告のせいでNMB48は完全に活動できなくなりました。AKBグループで活動が完全に停止となったのは今のところNMB48だけですが,AKB48を初め他のグループの活動もかなり制限される結果となっています。
ミルキーが殺されてから一週間たちましたが,わたしは自宅から一歩も外に出ずに自宅にこもってずっとおびえています。滋賀県の実家からお母さんが大阪のわたしのマンションにきてくれて食事などの面倒を見てくれていて,お母さんがずっとそばにいてくれるのが今のわたしの心の支えです。
他のメンバーとは電話やメールで連絡を取り合っているけど,他のメンバーもみな自宅で悶々としながらつらい毎日を過ごしているようです。
ミルキーが殺されたことはめちゃめちゃ悲しいことです。わたしはコンサートにマイ水筒は持っていかないけど,もし控え室のドリンクに毒が入れられていてわたしがそれを飲んでいたとしたらとか考えると本当に怖くてたまりません。
そして,NMB48メンバーへの殺人予告。一体,誰がそんなことをするんやろう。NMB48に恨みをもつひとなんかおるんやろうか。わたしにはまったく想像できひん。
とにかくいまNMB48は全く先の見えない暗闇に入り込んでしまった状態です。
いつまでもこんな状態が続けば,わたしはどうにかなってしまいそうです。
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