2013年10月22日火曜日

千葉競輪場を総合的な地域スポーツの拠点として再生する

渡部氏

「千葉競輪場を総合的な地域スポーツの拠点として再生する」
弁護士 日本写真判定株式会社 代表取締役社長
 
 
自転車は私たちの生活に欠かせない足。
近年ではエコロジーへの関心の高まりから自転車ブームもピークを迎えている。
千葉市では“自転車の街を目指して”自転車走行環境整備に取り組むことを公表するなど、自転車環境が新たな段階へと進んでいる。
 
『自転車競技を日本のメジャースポーツに!』を掲げ、精力的な活動を続ける渡辺俊太郎氏。
彼の視線は競技としての自転車に留まらず、千葉競輪場を総合的な地域スポーツの拠点として生まれ変わらせるべく、その実現化に取り組んでいる。
 

誰もが見逃していた競輪場の可能性

 
日本写真判定株式会社は、公営・スポーツ競技の着順判定の写真撮影業務を中心に、公営競技のシステム設計や競輪場のトータルマネジメント業務に携わっている。
現在、渡辺俊太郎氏は代表取締役社長として精力的に業務を推進しているが、〝競輪事業〟と真っ正面から向き合い始めたのは、2007年の4月、社長就任が決定してからだ。
 
「私は1990年に慶應義塾大学の法学部を卒業後、法律家を目指し96年から弁護士としてスタートしました。当時は会社(日本写真判定)を継ぐことになるとはまったく考えていませんでした。経営を引き継ぐと決心してからの私は、初めての世界へ飛び込む不安を払拭するほどの期待と可能性を感じていました」。と渡辺氏。
 
「実際に私にとっての〝競輪〟は未知の世界。最初に感じたのは『閉ざされた世界』であるという印象でした」
 
競馬やオートレース、競輪とも、公営ギャンブルとしては認知されているものの、日常生活では多くの人が接する機会が少なく、特定関係者のなかで展開されている印象も拭いきれない。
だが同じ状況ながら、競馬が広く認知を得ている一方で、残念ながら競輪は一般に認知されていない現実がある。
 
この状況に渡辺氏は「オリンピックの正式競技としても採用され、世界的な〝KEIRIN〟に対する認識と、日本での認識には大きな格差があります。
 
世界ではトップアスリートがしのぎを削るエキサイティングなスポーツとして認められ愛されていますが、競輪発祥の国である日本だけが認めていないのは不思議」だと話す。
 
だが彼が抱いた最初の閉ざされた印象は、様々な形で競輪に関わっていくことで瞬く間に変わっていった。
 
「競輪選手たちはアスリートとしての誇りを胸に切磋琢磨し続けている。見えない努力やレースの魅力を知れば知るほど、感動します。巷でブームを呼んでいる自転車についても、私自身が思いがけずのめり込んでしまったように、自分の身体の一部となった自転車と疾走する爽快感や、自転車本体の持つ機能性もすばらしいんです」。
 
渡辺氏の言葉には、競輪に対する不信感は一切ない。
そればかりか「競輪にはむしろ伸びしろがあるんです。私にとって競輪というスポーツも、千葉競輪場というスペースも、大きな可能性をもつ存在です」と力説する。
 

千葉競輪場を地域スポーツ拠点に

 
 渡辺氏が着目した競輪の可能性とは、どんなものだろう。
「2011年に文部科学省によって『スポーツ基本法』が施行されました。これは1961年に制定されたスポーツ振興法を全面改正したものですが、これによって地域スポーツの活性化に拍車がかかっています」と話す彼の真意は、千葉競輪場と、その周辺地域のもつ価値にあった。
 
「各地域が総合スポーツクラブを市民で構築し自治してやっていくというマネジメントスタイルを導入しているのですが、ここ千葉競輪場と隣接する千葉公園には、そこで求められるコンテンツがすべて揃っています」
 
渡辺氏は千葉競輪場の〝スポーツ競技場〟としての価値と共に、千葉公園にある体育館やプール、野球場などの施設を活かすことで、スポーツ基本法の奨励する総合スポーツクラブに最適な場所になると考えている。
 
「しかし残念ながら現状は〝競輪〟という、それ自身のベールが地域の目からその価値を覆い隠している…可能性を埋もれさせているのです」。
地域スポーツの拠点として、また駅からも近いという立地条件も活性化の追い風になる。
すでに決定した2020年の東京オリンピックとの連動も視野に入る。
「先にも話しましたが〝競輪〟はスポーツとして高いポテンシャルをもっているんです。スポーツ基本法の理念のなかには『トップスポーツ選手との交流』というものも掲げられています。
ここで活躍する競輪選手たちは間違いなく熱心に地域協力してくれます」
 
渡辺氏が競輪と向き合うようになってすぐ、選手たちのアスリートとしての純粋な熱意を肌で感じた。
例えばメジャーなスポーツ…プロ野球選手などが定期的に地域スポーツ振興に協力していくことは難しい。
しかし「千葉競輪場でなら、地域スポーツの活性化に向けた〝定期的な協力〟も可能なのです」。
そこにも将来的に大きな価値を見出す。
 
「先日は競輪選手を目指す夢を見ました。千葉は自転車人口も多く、インターハイ2013では、千葉経大附属高校がケイリンとチームスプリントで優勝を飾ったように、将来の日本代表選手の輩出も期待できます。
すべては〝競輪&競輪場〟のオープン化…開かれた環境とその活用が明日への大きな第一歩になると確信しています」
 
渡辺氏は現在、業務の傍ら早稲田大学の大学院生としてスポーツ科学研究科に通っている。
Jリーグの発足やなでしこジャパンの誕生、フットサルの普及などに尽力し、東京オリンピック誘致にも貢献した平田竹男教授のもと、トップスポーツビジネスを総合的な視点から研究を進めている。
そうしたなかで、いつしかより多くの人々に愛される地域スポーツの拠点となった〝千葉競輪場〟を夢みる渡辺氏。
その手腕に今大きな期待が寄せられている。
 
 

『千葉競輪場』
1997年12月に過去1年間の500バンクで実績のあった選手を中心に集めて闘われる「第1回グランドチャンピオン500」が開催された競輪場として知られる。
ファンの高い人気を呼んでいるレースも多く、記念競輪の「滝澤正光杯」が、今年も10月17~20日に開催される。
 
住所:千葉県千葉市中央区弁天4-1-1
TEL:043-251-7111
URL:http://www.chibakeirin.com/
アクセス:千葉都市モノレール千葉公園駅から2分、
無料駐車場467台分
※開催日にはJR千葉駅から無料バスの運行もあり

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