異字同訓使い分け手引 42年ぶり見直し2月21日 19時58分
文化庁の文化審議会は訓読みが同じ漢字、「異字同訓」の使い分けの事例を示す手引を42年ぶりに見直し、それぞれの漢字が持つ意味など詳しい説明を新たに加えました。
「異字同訓」の新たな手引は21日開かれた文化庁の文化審議会国語分科会でまとまりました。
人に「会う」、意見が「合う」など、同じ訓読みをする複数の漢字の使い分けについては、昭和47年に手引がまとめられましたが、去年、文化庁が行った調査で「漢字の選び方で迷うことがある」という人が75%に上ったことなどから、42年ぶりに見直されました。
新たな手引では、それぞれの漢字が持つ意味や使い分けの考え方などが詳しく説明されているのが特徴です。
例えば「とぶ」については、スキージャンプのような空中を移動している状態を言う場合は「飛ぶ」を、フィギュアスケートのジャンプのように地面を蹴って高く上がる場合は「跳ぶ」を使うとしています。
「すすめる」について、物事を前や先に動かす場合は「進める」、読書などの行為を働きかける場合は「勧める」、特定の人や物を推薦する場合は「薦める」を使うとしています。
また、「雪がとける」と言うとき、液状になるという意味で「溶ける」を使うことが多いですが、冬の間中、降り積もっていた雪がとける場合は、固まっていたものが緩むと考えて「解ける」を使うこともできるとしています。
このため「雪どけ」は「雪解け」となります。
さらに、時代とともに変化した使い方も反映されていて、例えば「花火があがる」は42年前の手引きでは「揚がる」とされていましたが、「上がる」が多く使われるようになっているとして、新たな手引には両方、記されています。
花火が空高く移動していく様子を言う場合は「上がる」を、空中で浮かんでいる花火のことを言う場合は「揚がる」を使うことが多いとしています。
新たな手引について文化庁は「1つの参考として示すもので違う使い方を否定するものではない」と話しています。
手引は文化庁のホームページで公開されています。
パソコンなどで漢字変換する機会は増えた
文化審議会国語分科会の委員の1人で、日本語学が専門の早稲田大学、笹原宏之教授は「今回の手引きの見直しを通して、日本人は今も昔も1つのことばにいくつもの漢字を当てて細かなニュアンスの違いを表現しているということを改めて感じた。自筆で漢字を書くことは減っても、パソコンやメールで漢字を変換する機会は増えて、どの漢字を使えばいいのか迷っている人も多いと思うので、自分が表現したいことがより伝わる漢字はどれなのか、この手引きを参考にして欲しい」と話していました。
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