中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 福井 > 2月20日の記事一覧 > 記事

ここから本文

【福井】

男性もドレスで 福井の貸衣装店が撮影サービス

女性スタッフのアドバイスを受けながら、純白のドレス姿で記念撮影に臨む男性=福井市で

写真

 福井市の結婚式関連の貸衣装店が男性向けにドレス姿で記念撮影するサービスを始め、性同一性障害の男性らの注目を集めている。貸衣装店の男性向けサービスは全国的にも珍しく、店も想定していなかった遠方からの来客が相次ぐ。男性の「かわいくなりたい」願望の受け皿になっている。

 貸衣装店「マリーマリエ」。衣装室には、男性でも着やすいように仕立て直した純白、青、赤色など三十着のドレスが並ぶ。入店するとまず、近くの理髪店へ案内し、入念にひげをそる。化粧は厚めに塗り、一時間ほどかけて丸みを帯びた女性っぽい顔に仕上げる。カメラマンも含めスタッフはみな女性だ。

 撮影サービスを始めたのは二〇一二年九月。当初は式を挙げられなかった人や、ドレスを着てみたい女性を想定していた。ホームページに案内を載せたところ昨夏、栃木県の男性から「男でもできますか」とメールが来た。以来、新潟、広島県など県外の男性から二十件以上の問い合わせがあった。同店の井関ひとみ取締役(42)は驚いたが、「自分らしくあれる手伝いができれば」と快諾。これまで百人ほどの利用者のうち十人ほどを男性が占めた。

 昨年十月に撮影した大阪府の四十代男性は、性同一性障害であることを家族に隠してきた。「きれいに撮れたから親に見せて、打ち明ける」と喜んだという。この男性は以前、女装愛好者向けのスタジオを訪れたが、設備などの面で満足できなかった。別の貸衣装店では不審な目で見られ、断られたという。

 全国の結婚式場や貸衣装店など五百社が加盟する公益社団法人日本ブライダル文化振興協会(東京都港区)の事務局は「男性向けサービスは聞いたことがない」と言う。

 「女装と日本人」の著書のある都留文科大非常勤講師(性社会・文化史)三橋順子さんは「男性が女装して撮影できるスタジオは全国で十店舗ほど。一般の貸衣装店では例がなく、多様な生き方への理解が進んできた表れだ。新規事業として、成功するアイデアではないか」と分析する。

 問い合わせはマリーマリエ=電0776(33)2272=へ。

 (塚田真裕)

 

この記事を印刷する

PR情報



おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ