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秘密法制

【以下はFBに書いたものを加筆して転記しています。】

 2/25に地元で「特定秘密保護法」をテーマに朝食勉強会をすることもあり、ちょっとだけ頭の整理をしていたら、ある方から特定秘密保護法について「これまで自由に入手できていた情報が出来なくなる。」と言われました。

 そういう主張をする方は多いのですし、気持ちは分かるのですが、実はこれは違います。

 そもそも、特定秘密保護法の出来る前にも、日本には秘密に関する法制がありました。防衛秘密、特別防衛秘密(日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法に基づいて指定された極めて高度な秘密情報)という防衛関係の特殊なものを除いても、国家公務員法第100条には「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。 」と一般的な規定があります。そして、この罰則は懲役1年以下です。

 この国家公務員法上の秘密については、普段、あまり意識されていません(それはそれで問題ですが)。何故、意識されないかというと「指定行為」がないからです。特定秘密のように、「これが特定秘密です」という行為が伴わないので意識されないだけです。しかし、この国家公務員法上の秘密については、最高裁判所判例がありまして、非公知性(一般に知られていないこと)と秘匿の必要性(他に知られてないことについて相当の利益があること)の2要件を具備しなくてはなるりません。こういう要件を備えている情報を、国家公務員が漏洩すれば懲役1年以下の罰則があります。

(なので、元国家公務員である私が職務上知ることのできた情報であり、非公知性と秘匿の必要性の要件を満たすものを漏洩すれば、懲役1年以下の罰則に服することになります。)

 したがって、今回の法律で特定秘密に指定されるものは、指定されなければ自由に知ることが出来た情報だったかというと違うのです。元々国家公務員法上の秘密なのですから、やっぱり公務員が漏らしてはいけない情報なのです。つまり、今回の特定秘密保護法は「今でも秘密なんだけど、罰則が軽いために漏洩に対する抑止効果力が低いという問題がある。したがって、行政が有する膨大な(国家公務員法上の)秘密の中で厳選されたものを特定秘密に指定し、その細則を定める。」ということです。

 仮に「自由に知り得る情報が特定秘密に指定され隠される」という主張は、その背後に「たかが懲役1年以下の(国家公務員法上の)秘密など、少々漏洩してもいいのだ。」という思いでもないと不可能だと思います。

 むしろ、今の国家公務員法のように、(指定行為がないため)上記2要件を具備しているかどうかは裁判所に行かないと判明しない状態で秘密法制が存在していることの方が、法的には不安定であるとすら言えるかもしれません。

 あの法律には問題が結構あります。しかし、その問題点というのは、「特定秘密というカテゴリーを設けること」ということではなくて、「何が指定されるのか」というところにあるのです。具体的には、違法な手法で集めた情報、政権に都合の悪い情報、こういったものが指定され得ることが問題なのであり、そういうことを考えるかもしれない将来の為政者への歯止めが薄いことが問題です。その観点から、私は独立性の高い第三者機関によるチェック機能は必要だと思っています。

 この辺りを混乱した議論が横行しています。民主党も、その辺りの議論の整理をするのが遅れて、結局(中身としては相当に良質の)対案を出すのが遅れたのです。

 特定秘密を指定する行為の裁量に何処まで制限を掛けるか、問題点はほぼこの1点に絞られるはずです。行政に秘密があることそのものを批判しても、何も始まりません。秘密自体は、程度の違いこそあれ、これまでの法制度の中でも元々あったのです。ただ、指定行為がなかったから気付きにくかっただけです。

緒方林太郎
前衆・民主/元外交官

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