貿易赤字が過去最大の2兆7900億円 ── 貿易赤字にまつわる3つの誤解
THE PAGE 2月20日(木)18時6分配信
財務省が発表した1月の貿易統計は、貿易赤字が過去最大の2兆7900億円という少々ショッキングなものになりました。世の中には、貿易収支をめぐって様々な誤解があります。論点整理もかねて3つほど列挙してみました。
貿易赤字が増えると、何としてもこれを改善しなければならないという議論になりがちです。しかし、必ずしも貿易赤字が悪いことであるとは限りません。家計の赤字・黒字とは異なり、貿易収支での赤字・黒字は単に貿易の差額を示しているにすぎないのです。どのような環境で貿易赤字になるのかで、それがいいことなのか、悪いことなのかは変わってきます。貿易赤字が続いていても、順調に経済成長できる国も存在します。赤字が是か非かという議論の前に、今の日本経済の状況をよく分析する必要があるわけです。
それでは、現在の日本で貿易赤字を放置してよいのかというと決してそうではありません。確かに米国のように貿易赤字が続いていても、それを上回る資金の流入があり、その資金をもとに順調に経済成長ができるのであれば何ら問題はないでしょう。
しかし日本の場合、米国とは異なり膨大な政府債務という問題を抱えています。現在日本の貿易収支は赤字ですが、海外への投資から得られる所得(所得収支)がこれをカバーしており、経常収支は何とか黒字を保っている状態です。このまま貿易赤字が拡大し、経常収支までが赤字に転落すると、国内の資金が不足し、国債の消化余力が減少する可能性があります。
実際には海外からのファイナンスで最終的なバランスは取れるのですが、そのようなイメージが市場に広がってしまうと、最悪の場合、国債価格の下落を引き起こすかもしれません。確かに赤字そのものに問題はなくても、そこから市場に動揺が広がる可能性は否定できないのです。
貿易赤字が増えて困るのであれば、輸出を強化しようと考えるのはごく自然なことです。実際、アベノミクスでは輸出企業を支援し、貿易収支を改善することを狙っています。しかしこれは現実的に難しいと考えた方がよいでしょう。
最終更新:2月20日(木)18時50分
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