日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか

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サムスンも日本企業と同じ道をたどるのか

泉田良輔 氏

キャプティブの罠から脱け出せるか

 では、なぜサムスンは、キャプティブの罠に陥ったのでしょうか。その背景は3つあります。

 第1に、スマートフォンを中心にサムスン製品が世界で成長し、市場シェアを上げてきたことです。サムスンにとってはどうしようもないことですが、結果的に、デバイスの自社製品比率が高まりました。

 サムスンのNANDフラッシュメモリーは、東芝に対して技術的に遅れています。これは、サムスンのスマートフォンが急速に成長しはじめたころから顕著に見られることです。理由は、サムスンがスマートフォン事業部門からの要求を聞かざるをえなくなり、そうした仕様をデバイスに詰め込みすぎたためです。

 実際、サムスンのNANDフラッシュメモリーのチップ面積は、東芝のものより大きくなっているようです。チップあたりの消費電力とコストを考えると、技術的に遅れているといわざるをえません。

 第2に、アップルとの訴訟問題が原因で、サムスンは、アップルという重要な顧客のうちの1社を失ってしまったことです。

 アップルという巨大なNANDフラッシュメモリーの需要家がなくなったことで、NANDフラッシュメモリーの自社消費比率は60%を超えていると推測されます。自社のスマートフォンやタブレットパソコンが好調に売れ続けているうちはよいのですが、ひとたび自社の最終製品が売れなくなれば、デバイスの売り先に苦慮することになるでしょう。

 これは、シャープの大型液晶パネル事業と同じです。自社のテレビの売れ行きが落ちると、テレビ事業が赤字になるだけでなく、液晶パネル事業も大きな赤字に陥ってしまいました。

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